自律神経失調症に漢方薬は効く?
Q 仕事の重圧を感じながら忙しく働いているうちに、頭痛や目まいに悩まされるようになりました。病院で検査をしてもらうと特に悪いところはなく、自律神経失調症と診断されました。この疾患にも漢方薬はよく効きますか。 (32歳・女性)
A 寿元堂薬局では、20年ほど前から顧客の漢方処方の記録をパソコンで管理しています。その記録を見ると、この20年間、私が相談を受けた病気の中で最も多かったのが、自律神経失調症でした。それだけ漢方薬を希望する自律神経失調症患者が多いということです。
自律神経失調症は、さまざまな体の機能を調整する交感神経と副交感神経のバランスが崩れて起こる疾患です。
精神的なストレス、あるいは暑さ寒さ、睡眠不足、病気、騒音などの肉体的ストレスが原因となり、全身倦怠感、目まい、頭痛、頭重感、動悸(き)、熱感、冷感、寝汗、肩凝り、背痛、腰痛、しびれ、息切れ、食欲不振、悪心、腹部不快感、腹痛、便秘、下痢、睡眠障害、不安感、緊張、抑うつなど、さまざまな症状が現れます。
女性の場合は、性ホルモンの失調などの影響も大きく、月経困難、血の道症、更年期障害などのような症状が出てきます。
また、訴えが特定の臓器に集中すると、心臓神経症、胃腸神経症、呼吸神経症などを発症します。
漢方では、これらの症状と、その人の体質から、漢方薬を判断します。それでは代表的な症状をいくつか紹介していきましょう。
- 柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
栄養、血色ともに良い人で、動悸、目まい、不眠、頭重感、肩凝り、不安のある人に - 桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
神経質で興奮しやすく、疲れやすい、目まい、動悸などを訴える人に - 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
気分を明るくする効がある。特に不安神経症の人に - 加味逍遥散(かみしょうようさん)
婦人の神経症状を伴う諸疾患に。全身倦怠感、頭重感、目まい、不眠、月経異常、顔面紅潮、発汗などに。女性の更年期障害にもよく用いられる - 苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
尿が減少し、目まい、身体動揺感がある人に
このほか、大柴胡湯(だいさいことう)、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)、抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)、逍遥散(しょうようさん)、釣藤散(ちょうとうさん)…とたくさんの漢方薬があります。これらをたいてい1種類、時には2種類を合わせて服用します。
正しく漢方薬を選べば、早ければ2、3週間で変化を感じられるでしょう。