Q 友人が胆石で漢方薬を飲んでいると聞きました。私も飲んでみたいのですが、どんな漢方薬を選べばよいのでしょうか。 (62歳・女性)
A 日本人の胆石保有率は年々増えて15%とも推定され、珍しくない病気です。
それも女性に多く、男性の2倍ともいわれます。ただし、自覚症状がなく自分が胆石症であることに気づいていない人も多いものです。いつ、急激な痛みが襲ってくるか分かりません。
胆石の正体は、肝臓から分泌される胆汁がコレステロールやカルシウムなどと一緒になって固まったもの。胆のうなどででき、小さな結晶がだんだんと大きく成長します。
自然と体外に排出されるケースもありますが、ある程度以上の大きさとなり、胆管をふさいだり、細菌が繁殖して感染したりすると、発熱、黄疸(だん)、悪寒などが症状として現れます。
昔は開腹手術をして、胆石を摘出するという大掛かりなイメージでしたが、今では体外衝撃波結石破砕術、腹腔鏡下胆のう摘出手術など、あまり負担にならない治療法があります。
しかし、今ある胆石はとれても、胆石のできる体質は変わりません。
漢方の世界でも、昔からよく胆石症に対しての処方が研究されてきました。
西洋医学の外科的手術の必要性を念頭に置きながらも、漢方治療を取り入れて、根本治療に努めてほしいと思います。胆石の痛みは漢方でよく治まることが多く、また、胆石が排石されやすくなります。
それでは、胆石症に使われる代表的な漢方薬をみていきましょう。
- 大柴胡湯(だいさいことう)
便秘の傾向があり、体格も頑丈な人に。外見はそれほどがっちりしていない高齢者に有効なケースも多い。自然に胆石が排出されたり、消失することがある - 小柴胡湯(しょうさいことう)
大柴胡湯よりも体が頑丈でなく、便通が正常な人に。高齢者には向かない。慢性の胆道感染が続いている人にもよい - 柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
柴胡剤の中ではもっとも体が弱々しい人や、病人に。嘔吐(おうと)がある場合が多い。外見上も疲れた印象で、首から上に汗をかきやすいことが特長 - 大建中湯(だいけんちゅうとう)
体力が低下し、手足の冷えを訴える人に。腸内のガスによって腹が膨満し、腸管のぜん動運動が不安定な人に
このほかにも、胆石症に適応するさまざまな漢方薬があります。
薬選びの一番のコツは、処方経験の豊かな専門家に相談をすることです。適切な薬で、健康回復に役立ててください。