愛煙家の夫がバージャー病に
Q 夫がバージャー病と診断されました。現在は、手足の冷えやしびれを訴えていますが、進行すると手足を切断しなくてはいけなくなると聞きました。漢方薬が利用できるとも聞いています。詳しく教えてください。 (36歳・女性)
A バージャー病は、閉塞性血栓血管炎ともいい、日本では約1万人の患者がいるといわれています。その多くは40代以下の喫煙男性。喫煙がきっかけとなり、四肢末梢小動脈に炎症が起こり、血栓性閉塞などを起こして血行障害が起こるという難病です。
その症状は、指のしびれ、冷感、蒼白、太鼓ばち指、脱毛、筋萎縮、疼痛、潰瘍(かいよう)、壊疽(えそ)などです。
そして最悪の場合は、手足を切断手術することになります。
治療には、絶対禁煙が必要です。副流煙を吸い込むような環境も避けなくてはいけません。血管が拡張しやすいよう、温浴、マッサージ、適度な運動などを取り入れ、寒さを避けます。ストレスも血管を収縮させる原因の一つなので、なるべく受けないようにしたいところです。
西洋医学では、血管拡張薬や、血管のバイパス手術などを施すことで治療に当たります。
一方、漢方薬では、バージャー病を「陰証」(静的な病状で、体は冷え、エネルギー不足)ととらえ、附子(ぶし)、生姜(しょうきょう)、当帰(とうき)、桂枝(けいし)、呉茱萸(ごしゅゆ)などの温める生薬の入った漢方薬を扱う機会が多くあります。漢方薬だけの治療で奏功することもありますが、西洋医学との併用が良いと思います。
ただ、バージャー病には、ある程度忍耐強く治療を続けることが必要です。
それでは代表的な漢方薬を見ていきましょう。
- 防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
がっしりとした体格の肥満体質の人で、動脈硬化の傾向があり、便秘する人に - 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
瘀血(おけつ)があり、手足が冷え、壊疽の初期症状に - 当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)
手足が冷え、脈が細い人に - 甘草附子湯合桂枝加朮附湯(かんぞうぶしとうごうけいしかじゅつぶとう)
疼痛が激しく、筋骨が痛み、冷えて、汗が出るという人に - 八味丸(はちみがん)
長距離を歩くことが難しい人に - 疎経活血湯(そけいかっけつとう)
瘀血があり、酒を好み、筋肉や関節、神経に疼痛がある人に
禁煙をすれば、ストレスもたまると思います。そこを妻の工夫で乗り切り、夫婦二人三脚で病気を克服してもらいたいものです。