Q 数年前から、息子がベーチェット病を患っています。治ってきたかと思えば、再発を繰り返して、大変です。漢方薬がよい効果を上げるそうですが…。 (63歳・女性)
A ベーチェット病は、トルコの眼科医であるベーチェット教授により報告された病気で、地中海沿岸や中近東、中国、韓国などの国々に患者が多く、シルクロード病とも呼ばれます。日本では北海道や東北に患者が多く、西日本の患者数は比較的少なくなっています。
発症は20代から40代が多く、その症状は、口腔粘膜のアフタ性潰瘍(かいよう)、外陰部潰瘍、皮下の血栓性静脈炎などの皮膚症状、ぶどう膜炎などの眼症状の4つが主です。
さらに副症状として、関節が膨張したり痛んだり、消化器に潰瘍性の病変が起こったり、動脈瘤(りゅう)などの血管病変が生じたり、中枢神経病変、男性は副睾(こう)丸炎など、多岐にわたり、何年も再発を繰り返し、失明や、生命の危険に及ぶ場合もあります。どちらかというと、男性に重症化するケースが多くなっています。
ベーチェット病の原因は不明。治療には、コルヒチンなどの内服薬、ステロイド含有軟膏などがありますが、副作用の問題もあります。
一方、漢方薬は、原因不明の病を得意とすることが多く、ベーチェット病についても例外ではありません。正しく服用すれば、副作用の心配も無用です。
漢方では、炎症のことを火と呼びます。実火、虚火、燥火に分けるなどして考え、それぞれの症状や患者の体質に応じた漢方薬を選んで使います。
では、実際の漢方薬を見ていきましょう。
- 温清飲(うんせいいん)
ベーチェット病の代表的漢方薬。体力は中程度の人で、粘膜の潰瘍や、皮疹に奏功 - 黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
粘膜症状のうち、熱感や疼痛が激しい場合に - 十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
比較的虚弱体質の人で、慢性の粘膜症状の人に。温清飲を飲むと、胃腸症状が出る人に - 甘草湯(かんぞうとう)
粘膜潰瘍の疼痛の緩和に。煎じてガーゼに染み込ませ、直接患部に当ててもよい - 竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)
比較的体力のある人の外陰部潰瘍に
そのほかにも、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)などが用いられます。
日常生活で、バランスのとれた食事、休養、ストレス軽減も必要です。