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さりお 寿元堂薬局の漢方よもやま話

暑さに負ける「中暑」に対処しよう

あっという間に1年の半分が過ぎ、本格的に夏がやってきました。この猛暑に負けてしまう人も多いでしょう。

漢方の世界では、暑さに負けることを「中暑(ちゅうしょ)」と言います。

「中毒」という言葉が「毒に中(あた)る」というように、中暑は暑さに中ることを意味します。

しかし、中暑と言っても、食欲がなくなったり、おなかを下したり、元気が出なかったりと、さまざまな症状があります。

漢方の全盛期であった江戸時代の医学書「古今方彙(ここんほうい)」の解読書である「方彙口訣(ほういくけつ)」には、次のように述べられています。

「中暑の薬と言っても、体の中も外も熱を持っている時は、口の乾きを目標に用いる白虎湯(びゃっことう)で治療する場合。体は熱いが水を飲んでもすぐに吐いてしまい、尿は出にくく腹を下してしまうような症状に用いる五苓散(ごれいさん)で治療する場合。気力、元気がなくなってしまった時に適する清暑益気湯(せいしょえっきとう)で治療する場合。この3つの治療の方法を工夫をして、暑気あたりを治療するべきである」 

このように、漢方薬では「夏バテにこの薬」といった選び方はしません。暑さの影響で、どのような症状が出てきているかによって適する薬が異なるからです。

暑さが厳しい夏に調子を崩してしまうと、なかなか体調を取り戻しにくいため、早めに対処して少しでも備えたいものです。