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さりお 寿元堂薬局のここが知りたい漢方

皮膚症状に用いられる漢方薬

アトピー性皮膚炎を含め、治りにくい皮膚の病気に、漢方薬が効く場合が多くあります


暑さが増してくると、汗で悪化しやすい症状が気になることでしょう。 

汗が影響しやすい病気の一つに、アトピー性皮膚炎が挙げられます。

昔は子どもの病気と思われていましたが、いつの頃からか、次第に治りにくくなり、現在では大人のアトピー性皮膚炎も少なくありません。

私たちの食生活や環境の変化が影響しているのか、最近では、アトピー性皮膚炎でなくても、大
人になってから原因不明の皮膚症状で悩まれて寿元堂薬局に相談に来られる人は増えています。

さて、このようなアトピー性皮膚炎を含めて、治りにくい皮膚の病気には、漢方が効果的な場合が多くあります。 

皮膚のトラブルには、温清飲(うんせいいん)や当帰飲子(とうきいんし)、清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)など多くの種類の漢方薬が用いられます。皮膚症状が出ている部位や熱感の有無、かゆみの強さ、赤みの度合いなどを参考にして、適する薬を選んでいきます。

今回は皮膚症状によく用いられる漢方薬の中から、入手しやすいものを2つご紹介します。

  • 十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう) 
    世界で初めて全身麻酔による乳がんの手術をしたことで有名な華岡青洲(はなおかせいしゅう)が創作した薬です。この薬は、中国の明の時代の医学書「万病回春(まんびょうかいしゅん)」に記載されている荊防敗毒散(けいぼうはいどくさん)という処方を基本に工夫されたもので、名前の通り10種類の生薬で構成されています。化膿(かのう)傾向のある皮膚炎に広範囲に用いられるほか、各種皮膚病の体質改善薬としても、よく使われる薬の一つです。
  • 消風散(しょうふうさん) 
    十味敗毒湯とともに使用頻度の高い薬です。やはり、明の時代の「外科正宗(げかせいそう)」に記載されており、分泌物が多く、かゆみが強い皮膚炎に使われます。頑固な湿疹やじんま
    しん、皮膚掻痒(そうよう)症、アトピー性皮膚炎などに使用されることが多い薬です。

アトピー性皮膚炎のような皮膚の症状であれば、かゆみなどを西洋薬で一時的に抑えながら、漢方薬で根本から体を改善していけばよいでしょう。

少しずつ西洋薬を使用する頻度が減って、漢方薬だけでコントロールできるようになり、最終的には薬がなくても調子が良い状態が保てればよいのです。

大人になって悪化した皮膚症状を治めるには根気が必要なことが少なくありませんが、上手に漢方薬を利用しましょう。