こむら返りが起きやすい季節は冬と言われることが多いですが、実は夏もこむら返りが起こりやすいのです。
特に今年は猛暑。冷房や扇風機をつけたまま眠って冷えてしまったり、汗をかいて体内のミネラルバランスが崩れてしまったりすると足がつりやすくなります。
こむら返りの時によく用いられる漢方薬が芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)です。
中国・後漢時代の書「傷寒論(しょうかんろん)」に載る処方で、芍薬と甘草の二つの生薬(しょうやく)だけからなる薬。
漢方薬は、通常多くの生薬を組み合わせて作るものですが、中にはこのように簡単なものもあるのです。
明治時代最後の名医と言われた浅田宗伯(あさだそうはく)の書「勿誤薬室方函口訣(ふつごやくしつほうかんくけつ)」には
「脚がつる症状を治すものであるが、腹痛、脚気、両足あるいは膝などが痛くて曲げられないようなものに使って激しい痛みを治している」
などと書かれ、こむら返り以外の症状にも使われてきました。月経痛にも使われることがあります。
このように発作時の症状緩和に定評がある芍薬甘草湯ですが、一時抑えの効果であって、こむら返りを起こさなくする根本的な解決にはなりません。
こむら返りを繰り返すのは辛いもの。発作自体が起きないように体を整える漢方薬もあるため、何度も繰り返すなどして悩んでいる場合は、専門家に相談するとよいでしょう。