産後の不調と漢方薬
産後の不調に対応する漢方薬は多数、
昔から多くの漢方薬が存在し、使い分けてきた歴史あり
最近、産後の不調でご相談に来られる人が増えています。
現在は核家族も増えており、妊娠・出産という一大行事を夫婦だけで乗り切らないといけない人は多くいます。
今ほど医療が発展していない時代には、妊娠・出産は死と隣り合わせでした。
現代ではリスクは下がり、厚生労働省の統計では、出産数10万例に対する1年間の妊産婦死亡数の割合である妊産婦死亡率は、2020年には2.7となっています。
妊娠・出産で命を落とすことが身近ではなくなった今、「妊娠は病気ではない」と、妊娠中や産後の不調を周りの人に理解してもらえないこともあると聞きます。
また、頼れる人がいないなど、いろいろな事情で産後の肥立ちの回復が十分にできないケースもあるようです。
産後の肥立ちは、現在では産褥(じょく)期と呼ばれ、妊娠で変化した体が妊娠前の状態に戻っていく大切な時期です。
その時の無理がたたって、そのまま不調が続いている人も少なくありません。
さて、漢方の古典を見ると、「産後」という文字はいろいろな薬の説明文の中に記載されています。
また、古典には産科に関する項目があるものも多く、昔から妊娠中より産後にかけてのさまざまな不調に漢方薬で対応してきたのでしょう。
現在、女性の3大漢方薬としてあげられる当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、加味逍遙散(かみしょうようさん)なども、体質や症状によって産後の不調に用いられます。
しかし、女性の不調に用いられるのは3種類の薬だけではありません。多くの漢方薬があり、体質や症状によって使い分けられていたのです。
温経湯(うんけいとう)、芎帰調血飲(きゅうきちょうけついん)、女神散(にょしんさん)、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)などを含め、多くの漢方薬が利用されています。
産後の不調は人それぞれ。
赤ちゃんの夜泣きや授乳のために睡眠不足で疲弊して不眠や食欲低下、倦怠感が続く肉体的定になって悩む人は多くいます。
交通事故と同程度の体の負担があるとされる出産を乗り越えた後は、精神的・肉体的にもかなりの負担があります。動けたとしても、くれぐれも無理をしないよう気を付けましょう。
産後の不調は検査では分からないことも多いようです。不調が続くようなら、漢方薬を試してみるとよいでしょう。