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現代の科学で解明されていない病気でも、先人達の知恵
と工夫の積み重ねの漢方で効果が期待できる場合がある


ヘバーデン結節という病気をご存じでしょうか。

あまり聞き慣れない病名かもしれませんが、イギリスの医師であるヘバーデンが1802年ごろに報告した病気で、日本でも「指曲がり症」と言われてきたものです。

ヘバーデン結節は変形性関節症に分類され、指の第1関節の変形や疼(とう)痛があらわれ、関節リウマチと間違われやすい病気です。40歳以上の女性に多く発症し、進行すると指関節の変形のために指が伸びなくなったり、横に曲がった状態でかたまったりしてしまいます。

ヘバーデン結節に近い病気で、第2関節に生じる変形性関節症にブシャール結節と呼ばれるものもありますが、残念ながら、両者ともに原因は未だはっきりと解明されていません。

しかし、更年期障害によるホルモンバランスの乱れが関与している可能性が考えられています。

また、そのほかにも、手の使いすぎや、遺伝などとも関わりが指摘されています。
へバーデン結節にかかった近親者がいる人は、体質が似ていることが多いため、注意しておくことで変化に早く気が付くことができるかもしれません。

漢方薬は体質や痛み方、痛む部位、症状が悪くなりやすい環境条件などを考慮して、適する薬を選びます。

そのため、症状が似ているヘバーデン結節、ブシャール結節、関節リウマチなどの関節の病気で使用されることが多い漢方薬は、共通していることが多いものです。

では、関節の痛みに対してよく使われる漢方薬をいくつか紹介します。

薏苡仁湯(よくいにんとう)は、関節リウマチなどによく用いられる漢方薬で、腫れや痛みがあまりひどくないものに適することが多い薬です。上半身の痛みの症状に用いられるケースが多いようです。

また、桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)は、体力があまりなく、冷え症で尿が出にくい人に適することが多い薬です。

そのほかにも、越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)や大防風湯(だいぼうふうとう)など、多くの漢方薬の中から適するものを選びます。

ただし、痛みに用いられる漢方薬には、麻黄(まおう)を含む薬があり、胃腸が強くない人には負担になることがあるため注意が必要です。

現在の科学的な研究でも原因が解明されていない病気には、昔から人々を悩ませていた症状が少なくありません。そういう症状こそ、先人達の知恵と工夫の積み重ねである漢方で効果が期待できるかもしれません。