3月から4月にかけて、白い花を咲かせるコブシ。
北海道から九州に広く自生する落葉高木で、その名は果実のかたちが拳(こぶし)に似ていることに由来しているそうです。
このコブシの開花直前の花の蕾(つぼみ)は辛夷(しんい)と呼ばれ、漢方薬の原料として用いられています。
日本では、コブシの他にも、タムシバというコブシに似た落葉高木の花の蕾も辛夷として用いられていますが、どちらも毛に覆われており、独特の香りを有します。
辛夷には鼻づまりの症状を改善する作用があり、鼻の病気に使われる漢方薬に含まれることが多いのです。
その中の一つに、葛根湯(かっこんとう)に川芎(せんきゅう)と辛夷を加えた葛根湯加川芎辛夷という漢方薬があります。
胃腸が丈夫で首や肩がこわばり、頭痛などの症状があるような葛根湯が適する人で、鼻づまりも気になる時にはこの薬で効果を実感できることが多いでしょう。
また、辛夷は辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)という漢方薬にも含まれます。比較的体力があり、鼻づまりの症状に加え、熱感などを目標に用いられることが多い薬です。
花粉症の症状に多いさらさらした水鼻も困ったものですが、鼻づまりも辛いものです。
体質や症状で適する漢方薬は異なりますが、何度も繰り返したりする慢性的な症状には漢方薬を試してみてはいかがでしょうか。