「漢方薬は温かくして飲んだ方がいい」と耳にすることもあるでしょう。今回は漢方薬を服用するときの温度について少し述べてみましょう。
古典に載る漢方薬は、ほとんどが煎じ薬です。そして、服用する温度が指示されている処方がたくさんあります。
二陳湯(にちんとう)は熱いうちに服用する「熱服」、葛根湯(かっこんとう)は温かいうちに服用する「温服」、鶏鳴散(けいめいさん)は冷まして常温で服用する「冷服」などです。処方の内容や服用する人の状態によりさまざまな飲み方をしていたことが分かります。
目的によって服用するときの温度を変える酸棗仁湯(さんそうにんとう)という漢方薬があります。
中国・明の時代に著された医学書「万病回春(まんびょうかいしゅん)」に記載されています。
現在一般的に使わる酸棗仁湯とは異なりますが、主に不眠症、神経症などに使われます。この漢方処方の飲み方は、「睡眠が不要なときは熱くして服用し、必要なときは冷たくして服用する」となっています。温度の違い一つで正反対の効果に変わる薬もあるのです。
漢方薬の顆粒や錠剤の多くは、古典に記載される煎じ薬を元に作られています。
そのため、飲み方も古典に記載される指示を参考にした方がよい場合もあります。
服用する漢方薬によって異なるので、専門家に相談して上手に利用してください。