ホーム掲載記事リビング寿元堂薬局 北山先生の漢方Q&A
リビング 寿元堂薬局 北山先生の漢方Q&A

漢方薬で元気になりたいのですが…

Q 最近仕事が忙しく、ドリンクの強壮剤などを飲んでも疲れが取れません。「漢方薬を飲むと元気になる」と聞きましたが、よい漢方薬があるでしょうか。 (67歳・男性)


 漢方には元気を補う薬がたくさんあります。内容もさまざまで、一人一人の状態に適するものを選んで効果を挙げます。

例えば、胃腸虚弱な人には四君子湯(しくんしとう)、貧血傾向の人には四物湯(しもつとう)、両方を兼ね備えている場合は2つの薬を合わせた八物湯(はちもつとう)や十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)、胃腸虚弱で疲れ切っているときは補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、高齢による肉体の衰えには六味丸(ろくみがん)や八味丸(はちみがん)、体を補う補薬(ほやく)として有名な鹿茸大補丸(ろくじょうたいほがん)など。代表的な漢方薬を挙げるだけでもこのようなものがあります。

これらの漢方薬を続けて飲むと、次第に元気を補い、体調が整って疲れにくくなっていきます。

しかし、早く効果を実感したいときには牛黄(ごおう)を試すとよいでしょう。

牛黄は数少ない動物生薬(しょうやく)の一つで、牛の胆石を乾燥させたものです。

仏教の聖典や古代中国の薬物書にも載っているほど古くから使われている牛黄ですが、3000頭の牛の中で、1、2頭にしかできないといわれるほど希少で、オーストラリア、ニュージーランド、北米、南米などに産し、日本では大半を輸入しています。

牛黄にはビリルビン系色素、胆汁酸、コレステロール、アミノ酸類などの成分が含まれ、強心や鎮静作用のほか、けいれんを抑える鎮痙(ちんけい)、造血、解熱、解毒などの作用があります。

現在では、疲労回復と体力増強を目的に手軽に利用されることも多く、事業家や政治家など精力的に活動する人や、虚弱な人に愛用され、日常生活の中で〝疲労回復のための常備薬〟としても利用されています。

慢性病の改善の補助にも使われますが、他の漢方薬や西洋医学の薬と併用するとよいでしょう。高齢者では体力の衰えをよく補うほか、心房細動などの不整脈の改善にもよく役立ちます。そのほか、慢性肝炎や肝硬変などにも使われる応用範囲の広い薬です。

即効が期待でき、適量を飲めば1、2週間以内に効果を判断できることが多いのですが、効果が表れにくいケースでは1カ月くらい試すとよいでしょう。

牛黄など動物生薬も植物生薬と同様に、品質による効果の差が大きいものです。漢方薬を効果的に利用するためには、適切な薬を選ぶことと生薬の品質にこだわることが大切です。

牛黄も、良質の純粋な粉末をそのまま飲むのが効率的です。