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リビング 寿元堂薬局 北山先生の漢方Q&A

妊娠しないので漢方薬を試したい

Q 結婚して5年目。不妊治療に通っていますが、なかなか妊娠しません。病院の検査では問題がないといわれています。漢方薬を試してみたいのですが、何を飲めばよいでしょうか。 (36歳・女性)


 思い起こせばもう40年近く前のことです。その当時は不妊で悩む人も少なかったのですが、はじめて不妊の相談を受けた女性に漢方薬を飲んでもらって妊娠し、出産したときには、まるでわが子が生まれたかのような喜びを感じたものです。

その後も多くの結果を出してきましたが、一口に不妊の改善といってもさまざまな経緯があることも経験してきました。

最も驚くべき速効は、3例しかありませんが、漢方薬を飲みはじめて2週間以内に妊娠した例です。

ほかにも、西洋医学の不妊治療を何年も続けたにもかかわらず、漢方薬を飲みはじめて1カ月から数カ月で妊娠した例は少なくありません。

これらの例とは逆に、数年かかってやっと妊娠できたような気長な例もありますが、不妊症全体をとらえたときには、少なくとも1年くらいは漢方の効果を試す価値が十分あると思います。

江戸時代の名医、有持桂里(ありもち・けいり)の著「方輿輗(ほうよげい)」に不妊についての記述があります。意訳すると「不妊は婦人を責めるけれども、男子に責任があることもある」「女性の不妊の原因はまず月経の不調である。月経周期の乱れ、経血の量の過多や過少、月経痛、経血の色が紫色や黒色、淡紅色、あるいは経血の中に凝血して塊のある者などは皆、妊娠しにくい」という、現実に基づいた知識が書かれています。

そしてこれらの月経の不調は漢方で改善されることがほとんどなのです。

漢方薬を飲んで改善を見る典型的な例では、体調が改善するとともに月経不順や月経痛がなくなり、経血の状態もサラサラの紅(あか)い色になって妊娠しますが、実際には、この過程の途中で妊娠することが多いものです。

最近では、西洋医学の検査でこれといった原因が見つからない機能性不妊が増え、西洋医学の不妊治療が盛んに行われています。西洋医学のホルモン療法や人工授精などは漢方にはない素晴らしい技術です。

しかし、人の体の状態の根本を整えて自然な妊娠に導くためには、男女ともに漢方は優れた効果を現します。

漢方薬はそれぞれの人の状態に適するものを選ぶことが大切です。漢方の専門家によく相談して、自分に合った薬を選んでもらってください。