花粉症にも漢方は効くの?
Q 今まで花粉症と無関係でしたが、最近、外出するとくしゃみや鼻水がよく出ます。また、目がかゆくてたまりません。花粉症に漢方は効果がありますか。 (31歳・女性)
A 街にマスク姿の人が増えてきました。花粉の飛来がピークを迎えているようです。花粉症の原因は、スギが一番多く、花粉症患者の約7割を占めるといわれます。全国の森林面積の18%を占める、広大な杉林が原因となっています。
花粉症の発症は、ある日突然。それまで無縁だった人は、風邪なのか花粉症なのか区別がつきにくいものです。どちらも、くしゃみ、鼻水、鼻づまりという症状が共通して現れます。
しかし花粉症の場合は、目が無性にかゆくなったり、涙目になるなど目の症状も現れます。
西洋医学では、薬物療法、減感作療法などがあります。粘膜の過敏性を少なくする「抗アレルギー剤」や抗原抗体反応を抑える「ステロイド剤」などで症状を抑えます。
一方、漢方では、「花粉症」という病名だけに対応する薬を考えるわけではありません。症状や状態をもっと広くとらえ、鼻アレルギーの症状に対応する漢方薬の中から、その人の体質に適したものを選ぶことになります。
また、漢方にはアレルギーや抗原という考え方はありません。アレルギー性鼻炎の症状の多くは、漢方でいう「水毒」、つまり水分代謝の異常によって起こると考えます。
そして、症状と体質に適する漢方薬を連用すれば、症状が次第に軽くなっていき、最終的にはアレルギー症状が出にくくなります。
よく使われる漢方薬を紹介します。
- 小青竜湯(しょうせいりゅうとう) 水のような薄い多量の鼻水が出たり、くしゃみを連発したりするような症状によく使われます。体力が中程度かやや弱い体質の人に適しています。
- 辛夷清肺湯(しんいせいはいとう) 鼻がふさがり、熱感のある鼻づまりの人には、この薬を用いることがあります。蓄膿症などの炎症を抑える効果も期待できます。
花粉症の諸症状に効果的な漢方薬は、ほかにもいろいろあります。
飲む期間の目安は、遅くとも1カ月程度飲めば症状軽減の効果を判定できます。
ただし、アレルギーの改善は根気を必要とします。体質改善を目的にするなら長く飲み続けた方がよいでしょう。
また、外出時はマスクやメガネを身に着ける、外に干した洗濯物や布団はよくはたいてから取り入れる、帰宅時には衣類についた花粉を玄関で落とす、飛散の多い日は窓や戸を閉めるなど、日常生活においてちょっとした注意を払うことで、少しは症状が軽くなるでしょう。気を付けてみてください。