前立腺肥大が心配です
Q 最近、尿の出が悪く、時間がかかります。前立腺肥大ではないかと心配です。漢方薬は効果があるのでしょうか。 (55歳・男性)
八味丸がよく使われ、効果を発揮します
A 男性の膀胱(ぼうこう)のすぐ下にあるのが、前立腺です。前立腺が大きくなると、前立腺の中にある尿道が圧迫されて、排尿にトラブルが起こるのです。
具体的な症状は、尿がすぐ出ない、少ししか出ない、勢いが弱く時間がかかる、切れが悪い、トイレに行く回数が増えるなどです。また、残尿感があったり、1回の排尿に数分かかるようなこともあります。
男性は高齢になると、多かれ少なかれ前立腺肥大になると言われています。加齢と大きな関係があり、年齢と発症率が比例します。男性ホルモンのバランスが崩れることが影響するようです。
アメリカで前立腺肥大の治療薬として開発された薬を飲んだ治験者の多くに薄毛(AGA)改善が見られたため、その薬は、日本では男性の薄毛の治療薬として販売されています。髪の毛も前立腺も、男性ホルモンと関係があるということでしょう。
高齢社会に突入し、前立腺肥大症の患者数は急増。平成2年に約17万2000人だったのが、平成23年には約41万8000人と約2.5倍に増加しています(厚生労働省の平成23年患者調査)。
西洋医学の治療では、男性ホルモンの働きを抑制して前立腺を縮小させる薬を飲んだり、尿道に内視鏡を挿入し、電気メスで前立腺の組織を切り取る手術をしたりします。
一方、漢方薬も効果を表すことが多いので、試す価値があります。最もよく使われている漢方薬が、「八味丸(はちみがん)」です。
八味丸は、八味地黄(じおう)丸などとも呼ばれ、その構成生薬は、地黄、山茱萸(さんしゅゆ)、山薬、沢瀉(たくしゃ)、茯苓(ぶくりょう)、牡丹皮(ぼたんぴ)、桂枝(けいし)、附子(ぶし)の8種類。
この八味丸は、前立腺肥大症に限らず、高齢者を元気にする薬としても知られています。腎虚の人の脳出血、高血圧症、糖尿病、腎炎、ネフローゼ、膀胱炎、緑内障、白内障、腰痛、神経痛、脚気、眼底出血、老人性掻痒(そうよう)症、難聴、耳鳴りなどにも使われます。
八味丸のほかにも、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)、六味丸(ろくみがん)、猪苓湯(ちょれいとう)、騰龍湯(とうりゅうとう)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)などが使われること
があります。
あまり西洋医学での治療は好まないという方や、前立腺肥大かどうか分からないが排尿トラブルが気になる、という方は、効果を試してみてはいかがでしょうか。