Q 最近、目がかすみます。白内障を心配して、家族は眼科の受診を勧めますが、漢方薬を試そうと思っています。白内障にも効果があるのですか。 (55歳・女性)
昔から使われてきた漢方薬があります
A 目の病気の中で、漢方が最もよく利用されるのが白内障と緑内障です。
内障という言葉はもともと漢方で使われており、一般的にソコヒとも言われていました。白内障は〝白ソコヒ〟、緑内障は〝青ソコヒ〟と言います。
ご存じのように、白内障は老化によるものが多く、水晶体がにごり、物がかすんだり、ぼやけて見えたりする病気。一方、緑内障は視神経が萎縮して視野が狭くなる病気。
この2つは全く異なる病気ですが、漢方で治そうとするとき、特に区別することはありません。
ひと昔前に比べると、今では白内障の手術が簡単になったので漢方の出番が減りました。
一方、緑内障は現在でも治癒が難しい病気なので、西洋医学でよくならないと言って漢方を頼る人があります。漢方薬で改善されることも少なくないので、試してみる価値はあります。
内障は、体質と症状に合った漢方を選べば、症状が改善される可能性が十分にあります。
- 八味丸(はちみがん) 内障によく使われる薬に八味丸があります。 地黄(じおう)、山茱萸(さんしゅゆ)、山薬(さんやく)、茯苓(ぶくりょう)、沢瀉(たくしゃ)、牡丹皮(ぼたんぴ)、桂枝(けいし)、附子(ぶし)という8種類の生薬の組み合わせ。
白内障、緑内障の慢性化したもの、糖尿病からくるもの、老人性の目の衰えなどに使われることが多くあります。
のどが渇いて疲れやすい、足が冷える、下半身が弱っているという人によく適します。尿が出にくい、または逆に尿量が多い、失禁するというような人にも利用されます。高齢者を元気にする薬としても有名です。
- 六味丸 六味丸は、八味丸とよく似た薬で、八味丸から桂枝と附子を取り除いた6種類の生薬の組み合わせ。こちらは八味丸を飲むほど体が弱っていない場合に使います。
六味丸は、古典の「小児薬証直訣(やくしょうちょっけつ)」に、「目の中のひとみが白い部分が多い」「ひとみを白い膜がさえぎっている」などの症状を治す記載があり、昔から白内障に使われてきたことが分かります。
白内障、緑内障を中心に紹介してきましたが、漢方薬は、そのほかの目の病気にもよく利用されてきました。
目にチラチラと星や花のようなものが見える飛蚊症(ひぶんしょう)は、漢方では「眼花」と呼ばれ、六味丸などさまざまな漢方薬が使われてきました。また、眼精疲労やただれ目などにも漢方薬 は効果を発揮します。
眼科を受診しながら、漢方の専門家にも相談してみるとよいでしょう。