Q 頭痛に悩んでいます。何が原因なのか全く分からず、市販の頭痛薬でその場はしのげますが、あまり飲みたくありません。漢方薬だと即効性がないと聞きますが、どうなんでしょうか。 (21歳・女性)
体質と症状に合えば効果が現れるのも早い
A いつも原稿のやり取りをしている岡山リビング新聞社・編集部のTさん(40代後半、女性)が、寿元堂に入ってくるなり、「先生、頭が痛いんです」と首を押さえながら訴えました。頭が痛いから首にも力が入ってしまい、首も痛くなっていると言います。
「今までは全く頭痛にさいなまれたことがない」というTさんは、市販の頭痛薬を生まれて初めて飲みました。とんぷくを飲むと和らぐものの、翌日には同様の頭痛が起こって、また薬を飲むという日々を繰り返しているとのこと。
あまり毎日のことなので心配になり、脳神経外科でCT検査をしたところ、異常なし。原因ははっきりしないが肩凝りのせいではないかと診断されたそうです。
後頭部の同じ場所が痛い、決まって夕方になると痛みが強くなる、肩凝りが気になる、お風呂に入ると痛みが和らぎ楽になるなど細かく症状を聞いて、釣藤散(ちょうとうさん)を勧めました。その後のTさん、飲んですぐに「だいぶ楽になりました」と話し、2週間たった今では、痛みが全くなくなったと喜んで報告してくれました。
病気になると、原因は何だろうと考える人が多いものですが、頭痛の場合は、Tさんのように原因がほとんど分かりません。言い換えれば、原因のはっきりした頭痛は、脳卒中や脳腫瘍(しゅよう)など怖い病気によって起こることが多いともいえます。今まで経験したことのないような激しい頭痛に襲われた場合は、すぐに専門医を受診した方がよいでしょう。
深刻な病気が隠れていない頭痛であれば、さまざまな漢方薬が昔から使われてきました。一部を紹介します。
- 葛根湯(かっこんとう) 肩凝りからくる頭痛の人。胃腸の調子が悪くない人に
- 呉茱萸湯(ごしゅゆとう) 頭痛が起こるときに、肩から首にかけてひどく凝ったり、嘔吐(おうと)したりするような人に
- 五苓散(ごれいさん) 嘔吐に効果のある薬として有名。嘔吐を伴うような頭痛に。呉茱萸湯が陰証に使われるのに対し、五苓散は陽証に使う
- 釣藤散(ちょうとうさん) 朝や夕方に頭痛が起こることが多い人。みぞおちがつかえた感じがする人、右の肩凝りが気になるような人に
漢方薬は即効性がないと思い込んでいる人が多いものですが、体質と症状にぴたりと合えば、効果を感じるまでにそれほど時間はかかりません。痛み止めと併用することも可能。試してみてはいかがでしょうか。