Q ひどい腰痛に悩まされています。病院では、腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)と言われました。漢方薬で効果があるのなら試してみたいと思います。 (57歳・男性)
A 「脊柱管狭窄症」の多くは、腰部の脊柱管が狭くなり、脊柱管の中を走っている神経が刺激されたり圧迫されたりして、腰痛や坐骨(ざこつ)神経痛を起こす病気です。50歳以上の人に多く見られ、冷えると症状がひどくなることもあるので、これからの季節、悩む人が増えてきそうです。
西洋医学による脊柱管狭窄症の治療は、保存的療法(薬物療法や神経ブロック療法)と手術療法に分けられます。そして、治療の7割以上が保存的療法といわれています。
一方、漢方には、脊柱管狭窄症という病名はありませんが、昔から腰痛や坐骨神経痛の症状に対してよく使われてきましたし、今でも効果を上げることが多いと実感しています。
例えば、ある60代の男性も、この病気で悩んでいましたが、3カ月ほど漢方薬を飲んで、ほとんど症状が見られなくなり、とても喜ばれました。
どんな漢方薬を使うのかいくつか紹介しましょう。
- 疎経活血湯(そけいかっけつとう) 中国の明の時代の書「万病回春」には、「体に痛みが走って昼より夜に痛みを強く感じるときは、疎経活血湯がよい」とあります。このように夜間に痛みがひどくなる神経痛は、異常のある場所に生じた瘀血(おけつ)が原因になることが多く、駆瘀血作用の強い疎経活血湯がよく使われます
- 桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう) 虚弱体質の人に使う桂枝湯(けいしとう)という薬に、利水効果のある蒼朮(そうじゅつ)と、体を温める附子(ぶし)を加えたものです。冷え症で尿が出にくいような人の痛みに
- 独活寄生湯(どっかつきせいとう) 寒がり、冷え症の人の痛みに。当帰(とうき)、川芎(せんきゅう)、細辛(さいしん)、秦ギョウ (じんぎょう)、人参などの生薬が血行を促進する働きがあります
- 五積散(ごしゃくさん) 冷えて痛むときに使われる薬。腰痛、関節痛、神経痛のほか、生理痛、胃腸炎にも用いられます
- 芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう) 西洋医学の薬ほどの効果はありませんが、痛み止めとして使えます
漢方で症状が改善されることは珍しくありませんが、とことん悪くなってからでは、手術に頼るしかない状態になることもあります。
一度症状が出ても、しばらくたつと痛みがおさまり、治ったかなと思ったら、また症状が出たりします。そうしているうちに病気が進行しています。症状が軽いうちに漢方を試してほしいものです。