Q 数年前から貧血がひどくて鉄剤を飲んでいます。でも飲むのをやめるとまた貧血になるという繰り返し。有効な漢方薬はありますか。 (34歳・女性)
A 貧血だけの症状で相談に来られる人もいますが、「しんどい」「立ちくらみがする」「冷え症がひどい」「生理不順で悩んでいる」など、別の理由でやってきた人の話をよく聞いてみると「貧血もある」というケースが多いように感じます。
はっきりとした特別の理由があって貧血になっている場合もあります。例えば、子宮筋腫(きんしゅ)がそのよい例です。そういう人には、子宮筋腫の状態を改善する薬を出すと、子宮筋腫がよくなると同時に貧血も自然に治っていくものです。
何か病気があって貧血があるのでなければ、鉄剤を飲んで貧血に対処している人が多いようです。しかし、腹痛や下痢をするなど、胃腸の調子が悪くなることがあります。
胃腸が不調になると体調が悪くなりがちです。先日相談に来られた方は、「ひどい貧血に悩んでいて市販の薬を飲んでいますが、体調が悪くなり、今はいろいろなお茶を試しています」とのことでした。
鉄剤は体質を改善するわけではないので、鉄剤をやめるとまた貧血になるという悪循環を繰り返す場合もあります。
漢方では、その人の状態に合った薬を飲むので、全身の状態がよくなるということが多く見られます。最終的には漢方薬を飲まなくても貧血ではなくなるという状態を目指します。
ただし、体質病は治りにくいものです。風邪と同じようにすぐに薬で治ると思っている人がいますが、少なくとも3カ月程度は様子を見た方がよいでしょう。
では、貧血によく使われる漢方薬を紹介します。
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) 冷え症・低血圧で疲れやすい、虚弱な女性の貧血によく使われる薬。血行をよくして体を温めることで知られています
- 十全大補湯(じゅうぜんたいほとう) 産後や手術後に体力が低下した人、慢性病で衰弱した人、顔色が悪く、倦怠感のある人などに使われます
- 帰脾湯(きひとう) あまり体力がなく、胃腸が弱くて顔色の悪い人の貧血に。不眠症、精神不安を訴える人の貧血にも
- 加味帰脾湯(かみきひとう) 帰脾湯に柴胡(さいこ)と山梔子(さんしし)を加えた処方。帰脾湯に適するような人で、さらにのぼせなど熱状のあるような場合に
- 人参養栄湯(にんじんようえいとう) 食欲がなく、体力低下が著しく、精神不安を訴える場合に
いろいろな薬があります。専門家に相談しながら試してください。