花粉症に効果的な漢方薬はありますか
Q 花粉症がひどくて西洋薬を飲んでいますが、眠くなり、車を運転する機会も多いので困っています。花粉症にも効果のある漢方薬はありますか。 (45歳・男性)
A この冬は厳しい寒さが続いた分、春が待ち遠しかったのは私だけではないでしょう。しかし、春の到来とともにセットでやってくるのが花粉前線。
岡山では、スギ花粉の飛散は2月下旬から4月初旬まで、ヒノキ花粉は3月下旬から5月初旬ごろまで続くそう。ヒノキが多数植林されている岡山県では、飛ぶ時期が長くなる傾向があるようです。
西洋医学の治療法には「抗アレルギー薬」の服用や、アレルゲンを少しずつ体内に入れる「免疫療法」がありますが、ご相談にあるように、眠くなるなど副作用が出る場合もあります。
一方、漢方では体質改善を目指し、症状が出なくなることを目的にします。
先日、県外の漢方家と会った際、その知人がテレビ局の取材協力を求められた話になりました。しかし、特集が「花粉症にはこの漢方薬!」という取り上げ方だったそうで、〝そのような紹介は極めてマスコミ的発想であって漢方的ではないな〟と、お酒を飲みながら2人で盛り上がりました。
具体的にいうと、まず漢方では「この病気には○○○」と、病気ありきの考え方をせず、そのときの症状、その人の体質に合わせて薬を選びます。また、「この薬が効く」と一つだけを限定することもありません。一つのモノを大きく取り上げて流行させる、演出と番組手法は、根本的に漢方とそぐわないのです。
では実際に花粉症にどんな漢方薬が使われているかですが、鼻水がひどくて肩凝りを伴う場合には、葛根湯(かっこんとう)が効果を発揮することもよくあります。
「え? 葛根湯は風邪薬でしょ?」と思った人は、まだまだ漢方を誤解しています。拙著「誤解だらけの漢方薬」にそのあたりは詳しく解説しています。
また、頭痛を伴うときは川芎(せんきゅう)を、鼻づまりがあるときは辛夷(しんい)を葛根湯に加えた「葛根湯加川芎辛夷」がさらにパワーを発揮します。
そのほかにも、小青竜湯(しょうせいりゅうとう)、辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)、清鼻湯(せいびとう)、苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)など、多数の漢方薬があります。
前述のように本人の体質に適するものを選ぶことが大切です。1カ月以内に効果を判定できることが多いのですが、体質改善を目的にするなら長く飲み続けた方がよいでしょう。いずれにしても専門家によく相談してください。