Q 年末年始、暴飲暴食が続いて胸焼けや胃もたれを感じています。ふだんから食べ過ぎると胃の調子が悪くなります。今年は漢方薬を試してみたいのですが。 (50歳・男性)
A 年末には忘年会やクリスマス、お正月にはおせち料理、年始には新年会…とごちそうや酒宴の席が続いた人も多いのではないでしょうか。
ごちそう疲れといえば、1月7日の七草がゆの習慣を思い出す方もいるでしょう。
これも元をただせば、7種類の若菜を入れた汁物を食べて無病息災を祈る、中国の「七種菜羹」(ななしゅさいのかん)という習慣が基になっているようです。
それが平安時代に日本に伝わり、江戸時代に広まったとのこと。野菜の端境期であるこの時期、ビタミンなどが含まれる青菜で栄養を補給し、消化の良いおかゆで疲れた胃をいたわるというわけです。
ただし昔の日本で、お正月だからといってそれほどごちそうが食べられたかどうかは疑問です。〝胃をいたわる〟という意味は後付けかもしれません。
さて、胃の不調がいっときのことなら、いっときで治ります。しかし、普段から胃の調子がよくない人やすでに慢性化してしまっている人には、一時抑えでは治りにくいこともあります。
そういう場面には、漢方が力を発揮します。漢方薬は胃のトラブル改善を得意とするだけでなく、胃そのものを元気にしてくれるからです。
主な漢方薬を紹介しましょう。
【食べ過ぎのとき】
- 平胃散(へいいさん) 症状が軽く、胃がちゃぽんちゃぽんと音がするような人に適します。下痢をしているときにも
- 半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう) 食欲がなく、胃がもたれるときや吐き気がするとき
- 六君子湯(りっくんしとう) 疲れやすく貧血気味、やせている人の胃炎に。足が冷えやすい人にもよいでしょう
- 半瀉六君子湯(はんしゃりっくんしとう) 半夏瀉心湯と六君子湯を足したような処方内容。守備範囲が広いので大変使いやすい薬です
【飲み過ぎのとき】
- 五苓散(ごれいさん) 吐き下しのときによく効く薬です。5種類の生薬(しょうやく)からできているので五苓散と呼ばれています
- 黄連解毒湯(おうれんげどくとう) 黄解散(おうげさん)ともいいます。胃がムカムカしてのぼせたような感じがするときに使います
年末年始、仕事は冬休みでも、胃腸は休みなしで働いてくれていたのです。暴飲暴食が原因なら、胃腸を休ませれば早く治るはずです。
消化の良いものを30回を目安によくかんで食べ、腹八分の食事を心掛けましょう。