Q 先日、尿路結石で「体外衝撃波結石破砕術」を受けました。無事に石が出たのですが、再発しやすいといわれ心配しています。ところで漢方薬は尿路結石にも対応できるのでしょうか。 (48歳・男性)
A 尿路結石とは、尿中に含まれるカルシウム、シュウ酸、リンなどのミネラル成分が結晶化して石となり、腎臓、尿管、膀胱(ぼうこう)などに詰まって激しい痛みを起こす病気です。
7世紀に書かれた文献「諸病源候論」に、「飲食の不摂生、虚実の不調はすなわち五臓六腑の不和となる。腎は虚、膀胱は熱となる。腎虚は小便回数が多くなり、膀胱の熱は体内の水の流れを渋滞する」とあり、このころすでに尿路結石について触れられていて、漢方処方もさまざま考案されています。
西洋医学では、衝撃波で石を砕き、砂状にして排尿とともに体外に出させたり、切開して石を取り出すという手術が行われます。
一方、漢方では煎じ薬によって、鎮痛を図り、結石を溶かし、利尿、自然排出を試みます。西洋薬との併用も可能です。
それでは、処方の一例を見てみましょう。
排尿痛や残尿感などの症状が急性で激しいときは、猪令湯(ちょれいとう)を用います。
皮膚の栄養低下、乾燥傾向があるときは、猪令湯合四物湯(ちょれいとうごうしもつとう)を選びます。
副腎、泌尿器、生殖器などの機能低下、下半身の脱力感がみられる場合は八味地黄丸(はちみじおうがん)が良いとされています。
消化管、尿路、平滑筋に急激な疼痛がある場合は、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)を用います。
体力が低下気味で冷え性、腹痛、下痢の人には桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)を。
体力があり、ろっ骨下部に圧痛があるときは大柴胡湯(だいさいことう)を用います。
皮膚粘膜に紫の斑点、さめ肌、唇が青い、大便が黒い、出血しやすいなどの瘀血の状態で、体力が中程度、肩凝り、頭痛、目まいなどがある人には桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)を。
同じく瘀血で、体力が充実し、下腹部に圧痛、激しい痛みがある場合は、大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)が有効です。
漢方薬を飲むことで、再発防止の効果が期待できます。
日常生活では、水分をたくさんとってください。ただしアルコールは控えめに。過食を避け、バランスの良い食事と運動が肝要です。