Q 主人は高血圧で、もう7年ほど病院に通っています。その間、薬を飲み続けていますが、良くもならず悪くもならずといったところです。漢方薬を試したらどうかと思うのですが。 (55歳・女性)
A 高血圧とは、最高血圧が140㎜Hg以上、あるいは最低血圧が90㎜Hg以上であることをいいます。
厚生労働省によると、高血圧で治療を受けている日本人は700万人に達します。
また、2000年の第5次循環器疾患基礎調査では、日本人の30歳以上の男性は51.7%、女性では39.7%が高血圧と報告されています。
血圧が高いと、血管や心臓に負担がかかります。
数年から十数年の無症状が続くため、放置しがちですが、ある日突然、動脈硬化や脳卒中、心不全、腎不全などの合併症が襲いかかります。これが、高血圧がサイレント・キラー(沈黙の殺人者)と呼ばれるゆえんです。
西洋医学では、降圧剤を中心とした薬物療法が中心ですが、いったん薬の服用を始めると、血圧が正常域に下降しても、維持するために長年服用を続ける必要があります。不用意に中止すると血圧が急上昇する可能性があるため、危険です。
漢方は、西洋医学と併用できるものです。
かかりつけの医師、漢方の専門家に相談しながら漢方療法を始めてみてください。
漢方薬には、血圧を下げる強い力はありませんが、血圧が高くなければバランスがとれなくなってしまった体の状態を整えます。
目先の血圧は西洋薬で抑えながら、漢方薬で体質を根本から改善していくのです。少し時間がかかりますが、気長に飲んだ人からは喜ばれています。
では、代表的な処方を見ていきましょう。
- 黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
顔色は赤みを帯びて血色が良く、興奮しやすく、脈に力があって、胸苦しい感じがある人に - 大柴胡湯(だいさいことう)
肥満で、筋肉や皮下組織は弾力的、胸苦しさがあって便秘傾向の人に - 柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
体格、体力とも中程度以上で、些細な物事に敏感に反応し、胸苦しさが強い人に - 釣藤散(ちょうとうさん)
主として中年以上で、動脈硬化の傾向があり、頭痛、頭重感、目まい、耳鳴りなどがある人に - 八味地黄丸(はちみじおうがん)
特に老人に適する人が多く、虚弱で排尿異常がある人に
このほかにも多数の漢方薬があります。
ただし、いくら漢方薬を飲み続けたからといって、生活習慣の改善を怠ると効果の発現は弱まってしまいます。
塩分の摂取量を抑え、運動をし、ストレスを解消するよう心掛けてください。