Q 3年前に膀胱炎になり、以来、何度も繰り返して発病するので困っています。一度、腎盂炎にもなって高熱を出し、1週間入院しました。 (40歳・女性)
A 膀胱炎(ぼうこうえん)や腎盂炎(じんうえん)は、女性に多い病気で、女性が男性に比べてよくかかるのは、尿道が短いからといわれています。また、冷えが原因となるため、エアコンの普及で最近は季節を問わず起きているようです。
膀胱炎の主な症状は排尿痛と頻尿で、おしっこが滞りやすくなり、尿意はひんぱんにあっても少ししか出ません。ひどくなると尿に血が混ざります。
一方、腎盂炎は、腰の痛みや震えとともに39度前後の高熱が出ます。いずれも、大腸菌、連鎖球菌、ブドウ球菌などの細菌感染が原因なので、抗生物質を使用し、水分を多く補給すれば早く治ります。
通常なら抗生物質で治るのですが、再発を繰り返して抗生物質を長期間服用したために効果が出なくなった人が漢方薬局に来られることがあります。根本原因の冷え症を治さないで、一時的に症状を抑えてばかりいるからです。
冷え症を治すためには、果物や生野菜、白砂糖、冷たいものなどの摂取を避けた方がよいでしょう。冷え症の場合、生野菜のサラダの過食はお薦めできません。季節の果物は少量にし、野菜はできるだけ火を通して食べるのがお薦めです。
それでは、泌尿器系の病気に処方する漢方を見てみましょう。
- 猪苓湯(ちょれいとう) 膀胱炎や腎盂炎に限らず、泌尿器疾患に広く応用される代表的な漢方薬。猪苓、茯苓(ぶくりょう)、沢瀉(たくしゃ)、滑石(かっせき)、阿膠(あぎょう)という5つの薬草で出来ています。
猪苓、茯苓、沢瀉、滑石には利尿作用や尿路の炎症を取る効果があるといわれています。阿膠には止血作用と急迫症状を緩和する作用があります。これらの薬草には抗生物質に匹敵するほどの抗菌作用はありませんが、腎炎や腎石などにも利用される処方で、血尿などが見られる場合は、目を見張る効果を示すことがあります
- 六味丸(ろくみがん)・八味丸(はちみがん) 少し体力が低下し、中高年から高齢者で腰部や下半身の脱力感、浮腫、冷え、痛み、しびれなどがあり、排尿異常や夜間頻尿を訴える人に
- 五淋散(ごりんさん) 体力は中程度ないしやや低下した人で、頻尿、残尿感の強い人に
大切なことは、冷えや疲労から膀胱炎や腎盂炎を再発しない体質に改善すること。生活習慣や食生活なども見直してみてください。