毎月、生理痛に悩んでいます
Q 毎月、激しい生理痛に悩んでいます。鎮痛剤を飲んでいますが、痛みは強くなるばかりです。漢方を飲めばこの痛みから解放されるのでしょうか。 (28歳・女性)
A 生理で悩む人が増えているようですね。私の薬局にも幅広い年齢の女性が婦人科系の病気の相談にやって来ますが、そのうち最も多いのが、生理不順や生理痛など、生理に関する異常です。
漢方では、血液やホルモンなどの血液成分に関する異常を「瘀血(おけつ)」といい、瘀血が女性特有の病気に深く関与すると考えて、この異常を体の中から整えていくことを目指します。
月経を整えることを「調経(ちょうけい)」といい、江戸時代の医師、香月牛山(かつきぎゅうざん)先生は、自著の「牛山活套(ぎゅうざんかっとう)」の中で、「婦人の諸病の起こりは月経の不調による」として、調経の大切さを説きました。
最近の女性の中には経血の色がよくない人も多いようですが、漢方薬を数カ月も続けて飲めば、きれいになっていくのが分かるでしょう。無月経の人、子宮内膜症や子宮筋腫などの人も、根気よく服用すれば改善の可能性が十分あります。
生理痛に使われる代表的な漢方処方が、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)です。
当帰、芍薬、川芎(せんきゅう)、茯苓(ぶくりょう)、白朮(びゃくじゅつ)、沢瀉(たくしゃ)という6種類の薬草からできていて、当帰・川芎は血を補い、芍薬は鎮痛・緩和を主とし、茯苓、白朮、沢瀉は体内の水分代謝を整えます。
最近では、女性の常備薬としても用いられているようですが、一般的には、疲れやすくて冷え症のような、体があまり丈夫でない人の生理痛や生理不順によく使われます。
このほかにも、当帰四逆湯(とうきしぎゃくとう)、温経湯(うんけいとう)、加味逍遥散(かみしょうようさん)など、体質や症状によっていろいろな処方があります。専門家に相談して体に合ったものを選んでください。
鎮痛剤は痛みを和らげる即効性があります。一方、漢方薬は痛みを即座に抑える効果は弱いのですが、体を内側から整え、一時しのぎではない体質改善がのぞめます。
必要なら漢方薬と西洋薬を併用すればよいでしょう。西洋薬の鎮痛剤で当座の痛みを乗り切りながら、漢方薬で生理痛を起こさない体に徐々に変えていけばよいのです。
生理の様子を知るチャンスは月に一度。従って、効果が分かるまで少し時間がかかることがありますが、私の経験では、卵巣の病気などにかかっている場合を除けば、長くても3カ月以内で効果を実感するケースが大半です。
生理痛の改善は漢方の得意分野の一つといえるでしょう。