リビング 寿元堂薬局 北山先生の漢方Q&A
不眠症にも漢方は効きますか?
Q 普段からあまり寝付きがよくありません。最近蒸し暑くなってきたので、ますます眠れなくなりました。不眠症に効く漢方薬もありますか。 (62歳・女性)
A 本格的な夏がやって来ましたね。30度を超える日が続くと、夜になっても熱が部屋にこもり、寝苦しい夜が続きます。かといって、エアコンをつけっぱなしで寝ると、体に冷えがこもってしまうのでお薦めしません。
夏になると「なかなか寝付けない」「眠りが浅くてぐっすり眠れない」「夜中に何度も目が覚める」という声を聞きます。
このような睡眠障害は、たまに眠れない程度ならそれほど気にならないでしょうが、毎日のように続くときは、いわゆる〝不眠症〟になってしまうのでは…と不安に感じる人もいることでしょう。
不眠症の原因は、性格にも関係があり、物事をあまり気にしない、おおらかな性格の人はかかりにくく、逆に神経が細やかで、物事にこだわりを持つ傾向の人などに多く見られます。
西洋医学で処方される睡眠薬なら即効性がありますが、その場限りの効果なので、10年以上飲み続けているという人もいます。一方、漢方薬の場合は、飲んですぐに眠れる確率は低いのですが、睡眠サイクルを調節する作用があり、次第に、自然に眠りに入っていけるようになります。
不眠症によく使われる漢方薬には次のようなものがあります。
- 酸棗仁湯(さんそうにんとう) 平素から疲れやすい虚弱体質の人の不眠症に。疲れ過ぎてかえって眠れないタイプの不眠にも奏功
- 黄連解毒湯(おうれんげどくとう) 体力のある、のぼせ気味の人に。頭がさえて眠れない、気分が落ち着かず、ささいなことが気になってイライラするときなどに。更年期障害が関係した不眠のケースにも適用
- 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう) イライラなどの精神不安や動悸(どうき)を伴い、便秘の傾向があり、体力は中程度の人に
- 柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう) 体力がなく、疲労感があり、血色がすぐれない人、動悸や息切れなどの症状のある人に
- 半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう) 体力は普通で、胃腸の働きが弱く、ときどき嘔吐や下痢、軽い腹痛などがある場合に
漢方薬を飲み始めてどれくらいで効果がみられるかは人によって異なります。
しかし、漢方は精神面にも影響を与えるので、たとえ時間がかかったとしても長期に渡って飲み続ける必要性は少ないでしょう。
専門家によく相談して、適切な薬を選ぶようにしてください。