Q 5年ほど前から腰が痛く、椎間板ヘルニアの診断を受けました。いろいろな治療を受けましたが、なかなか楽になりません。良い方法を探しているのですが。 (63歳・男性)
A 日本人の10人に1人は腰痛持ちといわれ、日本人の約1%は椎間板ヘルニアを患っているといわれます。
重い荷物を持ってぎっくり腰を起こし、椎間板ヘルニアになる人がいます。また、長時間座りっぱなしのタクシードライバーやパソコンを一日中使用している労働者、掃除機がけや料理で前かがみの姿勢を続ける主婦も、椎間板ヘルニアになりやすいといえます。
そもそも椎間板ヘルニアとはどのような症状でしょうか。
人間の背骨は、椎骨が並んで出来ており、椎骨と椎骨の間にある椎間板という軟骨が、クッションの役割をしています。
椎間板の中心は、ゼラチン状の髄核と呼ばれるもので、椎間板の周辺は繊維輪と呼ばれる硬い部分です。この繊維輪が何かの原因で破れ、中心の髄核が飛び出した状態が、椎間板ヘルニアです。ヘルニアによって、脊髄の神経が圧迫され、痛みやしびれが生じるのです。
症状は、腰痛に限りません。腰が曲がりにくい、足にしびれるような痛みが走る、尿が出にくいなどの症状が現れることもあります。
西洋医学の現場では、機械的に引っ張る「牽引」や、鎮痛薬、温熱療法、神経ブロック療法、手術療法などが行われます。
さて、漢方薬はどうでしょうか。
意外に思われるかもしれませんが、漢方薬は椎間板ヘルニアの症状によく奏功します。
適切な漢方薬をしばらく続けて飲むと、症状が出なくなってしまうのです。ただし、早く効くことばかりではないので、必要に応じてしばらくの間消炎鎮痛剤などを利用してもよいでしょう。
では、代表的な処方のほんの一部を見てみましょう。
- 疎経活血湯(そけいかっけつとう)
瘀血(おけつ)があり、特に腰から下に筋肉、関節、神経の痛みが強い場合に口の乾きがあり、尿量が少なく、頭痛、めまい、嘔吐を伴うこともある、虚証の人に - 桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)
体が弱く、冷え性の人に。寒さによって痛みが増大する場合に - 苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅっかんとう)
体力が低下した人で、腰や腰から下に寒気があり、頻尿のある場合に - 当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)
手足の冷えが強く、腰から足が痛む人に足腰が冷え、下半身の脱力、尿量の減少、夜間頻尿があって、胃腸障害のない人に
椎間板ヘルニアで長年お悩みの方も多いと思います。
漢方を試してみることで、そんな悩みから解放されることもあります。一度、専門家にお尋ねください。