Q 月経不順と月経痛で悩んでいます。周期は不定期で、1、2カ月飛ぶことも…。痛みの強いときは鎮痛剤を飲みますが治まりません。漢方薬がよいと聞きましたがどうでしょうか。 (36歳・女性)
A 多くの女性が月経不順や月経痛を患っています。あまりにポピュラーな症状なので、異常と思っていない人や、治すことを思いつかない人も少なくないようです。
漢方では昔から「婦人の諸病の起りは月経の不調によるなり。経水或いは前、或は後、或は多く、或は少なく、或は月を踰(こ)えて来たらず、或は一月に再び来たる類、是皆不調の故也」などといわれたように、月経の乱れ、つまりホルモンのアンバランスが女性の病気の多くに関係していることが理解されていました。
そして、女性のホルモンバランスを整えて、月経不順や月経痛を治す漢方薬がたくさん工夫されてきました。
今でも女性特有の不調の改善は漢方の得意分野の一つなのです。
漢方薬の常として、経験を重視し、実際の効果を確かめながら薬の内容を加減してきたのですから、使い方さえ間違わなければ効果が期待できるのは当然です。
大切なことは、「月経不順には○○、月経痛には△△がよい」などと、病名や症状だけで一定の薬を決めつけないことです。同じ病名や症状でも、一人一人の細かい状態は異なります。この人のこの状態に適する漢方薬を選んで試すことが、効果的な漢方薬の使い方につながります。月経不順や月経痛の多くは漢方で改善されるでしょう。
漢方薬は、西洋薬のホルモン剤や鎮痛剤のように、一時的に月経をコントロールしたり、痛みを抑えたりする効果は強くありません。
しかし、一時しのぎの効果ではなく、体をきちんと整えることによって、月経不順や月経痛が起こらないように治してしまうことを目的にするのです。
さて、女性のホルモンバランスの乱れを漢方では「瘀血(おけつ)」といいます。
月経不順や月経痛はもちろん、子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣嚢腫(のうしゅ)のほか、冷え症、不妊症、更年期障害・血の道症など、女性の不調の多くに瘀血が影響しています。
漢方薬で瘀血を上手に整えれば、女性の病気が改善されやすいのです。手術が絶対に必要な場合を除いて、女性の病気の多くに漢方を試す価値はあると思います。
漢方の専門家によく相談して、状態に合う薬を選んでもらってください。