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さりお 寿元堂薬局の漢方よもやま話

竜胆、口に苦し

お盆、お彼岸の時季に咲くリンドウの花を見ると、秋の気配を感じるものです。

リンドウは多年草の植物で、根は漢方薬の原料として使用され、竜胆(りゅうたん)と呼ばれます。

竜胆は極めて苦く、その苦さは熊の胆汁である熊胆(ゆうたん)よりも苦いことから、竜の胆のようだと名付けられた説もあるほど。

竜胆を含む漢方薬は処方の名前にも竜胆が含まれる竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)が有名です。

竜胆瀉肝湯という名前の漢方薬はいくつか存在しますが、少しずつ内容が異なります。

その中で現在よく使われているのは、明の時代に薛立齊(せつりつさい)がつくったもので、尿道や膀胱などの炎症や熱症状に用いられることが多い薬です。

比較的体力があり、尿量が少なめで色が濃く、膀胱(ぼうこう)炎を繰り返すような人に適することが多く、排尿痛や残尿感、尿の濁り、下腹部の熱感を感じる症状にも使われます。

また、竜胆は疎経活血湯(そけいかっけつとう)という薬にも含まれます。

この薬は、明の時代の書「万病回春(まんびょうかいしゅん)」に記載されています。坐骨神経痛などにより起こる痛みやしびれ、特に腰から下に現れる症状によく用いられる薬です。

どちらの薬も苦みがありますが「良薬口に苦し」ともいいます。

漢方薬の味が飲みにくい場合も少なくありませんが、しっかり様子をみて適する薬を見つけましょう。