花粉症や鼻炎に使われる漢方薬
昔からよく使われてきた小青竜湯がアレルギー症状に有効
妊娠中は避けた方がいい生薬もあるので専門家に相談を
春の風物詩となりつつある花粉症ですが、花粉は年中飛散しており、秋も例外ではありません。
この時季はブタクサやヨモギなどに悩まされる人が多いようです。
また、ピークは越えても、稲刈りの際にイネに付着した花粉によって、イネに反応する人にも嫌な時季の再来です。
アレルギー反応を起こしやすい人は、ハウスダストやダニ、ペットの毛などにも反応しやすく、室内外問わず、いつの季節もくしゃみや鼻炎に悩まされている人も多いでしょう。
寿元堂薬局にも、抗アレルギー薬を1年中飲んでいる人や、アレルギー症状がひどくなり今まで効果があった薬が効かなくなって、漢方薬を試したいという人がご相談に来られます。
鼻炎やくしゃみなどのアレルギー症状によく使われる漢方薬では、小青竜湯(しょうせいりゅうとう)が有名です。
この薬は、張仲景(ちょうちゅうけい)が著したとされる中国・後漢時代の書「傷寒論(しょうかんろん)」に記載されています。傷寒論は急性発熱性疾患に関する処方が集められたものです。
そして、同じく張仲景が傷寒以外の病気の対処法を著したとされる「金匱要略(きんきようりゃく)」にも、小青竜湯が適するような人で口の乾きを感じる場合は石膏(せっこう)を加えるなどと記されており、先人の工夫が読み取れます。
江戸時代後期の名医・津田玄仙(つだげんせん)は、急性発熱性疾患以外のさまざまな病気に小青竜湯を用いる場合は、
「痰沫(たんまつ)、咳嗽(がいそう)、熱状がないことなどを目標とする。痰沫とは、痰がとても薄く、水に立つ泡のようなものをいう」
と著書の「療治経験筆記(りょうじけいけんひっき)」で述べています。
このように小青竜湯は、水のような薄い鼻水や痰が多量に出て、咳やくしゃみを連発する症状に適することが多い薬で、花粉症に限らず、気管支喘息や気管支炎、副鼻腔炎などにも利用されています。
漢方薬は、主に植物由来の原料を組み合わせて作られており、体に優しいイメージがあります。
しかし、妊娠中の服用は避けた方がよいものを含む漢方薬もあり、その一つが麻黄(まおう)という生薬(しょうやく)を含むものです。
麻黄は、今回ご紹介した小青竜湯や、有名な葛根湯(かっこんとう)、麻黄湯(まおうとう)などにも含まれているので注意が必要です。
漢方薬は専門家に相談して、適するものを上手に利用しましょう。