さりお 寿元堂薬局の漢方よもやま話
のどの閉塞感を感じるとき
そろそろ梅の花が咲き始める時季。
まだ寒さがこたえる日はありますが、春の訪れが近づいていることを感じます。
のどに閉塞感を感じる場合に、梅の種がつかえているようだと表現されることがあります。
漢方の世界では、このような症状のことを「梅核気(ばいかくき)」と呼び、「咽(のど)の中に炙(あぶ)った肉が引っかかっている感じ」と表現している古典もあります。
また、女性が患うことが多いとも述べられており、昔から梅核気は珍しい症状ではなかったことがうかがい知れます。
のどの異常は、食道がんやポリープなどの病気が隠れていることがあります。耳鼻咽頭科で検査をして、異常が見つからない場合は漢方薬を試してみてもよいでしょう。
昔から梅核気の症状によく用いられる漢方薬に半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)があります。
半夏厚朴湯は、半夏(はんげ)、厚朴(こうぼく)、茯苓(ぶくりょう)、蘇葉(そよう)、生姜(しょうきょう)の5種類の生薬(しょうやく)を組み合わせた漢方薬です。
梅核気に使用される印象が強いですが、不安神経症、咳、妊娠中のつわりやむくみ、月経困難症、冷え症などの症状に幅広く用いられる薬です。
漢方薬の構成生薬や、薬が使われてきた長い歴史の背景を知っていると応用範囲の広さを理解できる一助になります。
しかし、深く知るのはなかなか骨が折れるものです。専門家に相談しながら上手に漢方薬を利用しましょう。