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さりお 寿元堂薬局のここが知りたい漢方

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)

漢方薬を飲みだして症状の出ない期間が長くなったり、
症状が軽くなったりという傾向が見られます


掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)という、無菌性の水疱ができる病気があります。
水疱ができる時にかゆみや痛みを生じやすく、経過とともに膿(うみ)がたまり、最終的にかさぶたになってはがれ落ちます。

この病気は、一時「魔法の薬」と称されたほど高い効果を持つステロイドを使用しても、何年も、場合によっては十年以上も難治の状態が続くこともある少々やっかいな病気です。
周期的に症状の悪化を繰り返し、長い時間をかけて寛解の状態になりますが、患部が手足であるため悩んでいる人が意外に多いものです。

歯周病や虫歯、中耳炎など慢性の細菌感染が引き金となって、他の部位に別の病気を引き起こす病巣感染や、金属アレルギーが関与していることが分かっています。
また、患者の喫煙率の高さから喫煙が関係するとの見方もあります。

しかし、7~8割は原因不明のため、基本的には対症療法でしのぐしかありません。

日常生活で手足を使わないことは現実的には非常に困難です。
西洋薬で一時的につらい症状をしのぐことを続けていても、根本的な解決ができていないことに不安を抱える人は多いものです。薬を使わなくてよい状態を増やしたいという思いで、寿元堂薬局にご相談に来られる人は少なくありません。

掌蹠膿疱症に用いられる漢方薬の一部をご紹介しましょう。

黄連解毒湯(おうれんげどくとう)は、患部の赤味が強い、または熱感がひどい時によく使われる薬。
この薬はほかにも、のぼせ、神経症、胃の不調、口内炎などさまざまな症状に用いられる応用範囲の広い薬です。

また、通導散(つうどうさん)という漢方薬は、瘀血(おけつ)という状態を改善すると考えられており、手湿疹にも使われることがあります。
手湿疹も掌蹠膿疱症と同じように手に水疱ができ、ひどくなると膿(う)むことがあります。症状が似ていれば、病名や原因が異なっていても同じ薬で対応できるのが漢方の不思議なところです。

このほかにも症状と体質によって多くの薬を使います。
寿元堂薬局の経験では、漢方薬を飲み出して、掌蹠膿疱症の症状の出ない期間が長くなる、また、症状が出ても症状が軽くなっていく場合が多いようです。 

しかし、手足の症状で漢方薬を試す場合は、手足を使うことで状態を悪くしながら、薬で地道に改善していくため、多くの場合は根気が必要です。
そのことを頭に入れて漢方薬を試すとよいでしょう。