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外からのアプローチが難しい眼精疲労
効果が現れやすい漢方薬を一度試してみては


最近はスマートフォンやタブレット、パソコンが普及し、仕事でもプライベートでも目に負担をかける機会が多く、目の疲れを訴える人が増えています。

日本眼科学会は眼精疲労を「視作業(目を使う仕事)を続けることにより、眼痛・目のかすみ・まぶしさ・充血などの目の症状や、頭痛・肩こり・吐き気などの全身症状が出現し、休息や睡眠をとっても十分に回復しえない状態」と定義しています。

目に関する症状の改善には昔から多くの漢方薬が工夫されてきました。
先人たちの経験と知識がつまった古い医学書には、眼精疲労はもちろんのこと、眼底出血などの症状やシロソコヒ(白内障)、アオソコヒ(緑内障)や、その他の目の不調に幅広く対応してきたことが記されています。

現在は手術の技術やレーザー治療などが発達しているため、昔と比較すると白内障や緑内障に対する漢方の出番は減っています。

しかし眼精疲労は、いまだに漢方を試してみたい症状の一つであり、漢方がよく奏功することが多い症状の一つでもあります。

漢方では体質や症状によって選ぶ薬が異なりますが、一般に入手しやすい漢方薬には、八味丸(はちみがん)、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)などがあります。
ただし、錠剤や顆粒剤などのエキス製剤よりも漢方薬本来の剤型である煎じ薬の効果が際立つことが多いものです。

さて、決明子(けつめいし)という生薬(しょうやく)があります。決明子はマメ科のエビスグサの種子で、目を明らかにするという意味が名前の由来だそう。
某音楽グループの名前にもなっているため耳にしたことがある人は多いのでは? 決明子はハブ茶とも呼ばれているため、そちらの名前になじみのある人が多いかもしれません。

決明子だけを利用する民間療法としての効果がどれほど期待できるかどうかは分かりませんが、決明子を含む漢方薬もあります。その中の一つに洗肝明目湯 (せんかんめいもくとう) があります。
目の充血、痛みなど炎症がある時に適することが多いようです。

慢性化した眼精疲労はつらいものです。目を使う機会が多い現代だからこそ、早めに漢方を試してみてもよいでしょう。
適度に休憩をとる、ドライアイなどの場合は点眼薬を利用する、眼鏡やコンタクトの度数を合わ
せるなど目の負担を減らすようにしましょう。