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さりお 寿元堂薬局のここが知りたい漢方

尋常性白斑と漢方薬

漢方薬は数カ月から半年くらいを一応の目安として試してみて、効果が出そうなら根気よく


尋常性白斑(じんじょうせいはくはん)は、皮膚の色素が何らかの理由でなくなり、色が抜けて、白くまだらになる原因不明の病気です。

西洋医学の治療にはステロイドの外用、紫外線療法、皮膚移植などがあるようですが、なかなか治りにくいようです。

漢方では、皮膚の色が変わる病気を癜風(でんぷう)といいます。

江戸時代の名医、本間棗軒(そうけん)が著した『瘍科秘録(ようかひろく)』(一八三七年)に、「癜風ハ紫白ノ二証アリ、本邦ニテハ「ナマヅ」ト云フ。」とあるように、肌に紫色の斑点ができる症状を「紫癜風(しでんぷう)」、白くなるものを「白癜風(はくでんぷう)」といいます。紫癜風は、紫斑病のような症状のこと、白癜風には、尋常性白斑が含まれます。

そして、『瘍科秘録』には、「紫白共ニ治シ易キモノナリ。」の記載がありますが、香月牛山の書「牛山活套(ぎゅうざんかっとう)」(一七七七年)には、「白癜風ハ治シ難シ。」とあります。

「治りやすい」と「治りにくい」の違いは、この病気に対する漢方家の腕の違いなのか、患者の症状の違いなのかは分かりませんが、古典には、漢方が本来の効果を発揮していた時代の経験が残されています。

経験といえば非科学的のようですが、積み重ねられた臨床試験ととらえると信頼性はあると思われます。
実際に、尋常性白斑を含めて、治りにくい病気にも古典に残された漢方薬が奏功した例は多くあり、試してみる価値は十分あるでしょう。

漢方の技を競っていた時代では、医家独自の秘方や処方の使い方の秘伝がありました。古典には、「秘スベシ」などという言葉がよく出てきます。
秘方や秘伝を含めて、漢方が日本の医療を担っていた時代の効果的な漢方薬の多くが、現在では知られていません。
白癜風を治す効果が記載される処方は古典を探すしかないのです。

しかし、現在の日本で普及している漢方製剤(顆粒や錠剤)は種類が少なく、白癜風に使える古典の処方の内容のものはありません。

処方内容を考慮した選び方や使い方を上手に応用し、工夫して、少しでも古典の処方の意味に近づけることが肝要です。

寿元堂薬局の経験では、尋常性白斑の改善には時間がかかることが多く、数カ月から半年くらいを一応の目安として漢方薬を試すとよいと思います。

効果が出るときは、白斑の中心から色が出てきます。そうすれば根気よく治していくとよいでしょう。