漢方薬で月経不順になることがある?
Q 慢性の頭痛、肩凝り、冷え症などの改善に漢方薬を飲んでいます。症状は良くなってきましたが、月経が乱れてきました。漢方薬の副作用なのでしょうか。 (38歳、女性)
よい副作用と瞑眩(めんげん)
A 漢方薬を飲んで効果の出る人の多くは、不都合なことなく順調に症状がよくなっていきます。
しかし、まれに不都合な症状が出ることがあります。副作用と瞑眩(めんげん)です。
薬の副作用とは、目的とする作用とは別の作用で、一般には悪い作用のことを示します。
「風邪には葛根湯」などと病名だけで漢方薬を選んだときに、薬が体の状態に合わなくて不都合な副作用が出ることがあるようです。これが世間でいう漢方薬の副作用のほとんどです。
しかし漢方家は、病名にあまりこだわらず、全身の状態に適した漢方薬を選ぶ努力をしますので、悪い副作用が出ることはまれで、むしろ目的とする症状以外の症状まで改善するよい副作用が出ることも多いのです。
よい副作用の例には、不定愁訴の改善を求めた女性が、順調に改善したが、過去にはなかった月経不順が数カ月間続いた後、30日周期が28日周期に変わって全身の体調がよりよく整ったというものがあります。
薬が合っているにもかかわらず、一時的に症状が悪化したり、予期しない症状が出たりすることを瞑眩といいます。
瞑眩は副作用とは異なり、症状の改善が早まるために起こる作用です。一時的に症状が悪化したり、不都合な症状が出たりしますが長くは続かず、その後は症状の改善が早くなります。
古くから「薬に瞑眩の症状が出なければ、その病は癒えない」という言葉もあるくらい瞑眩が望ましいものともされていますが、瞑眩が理解されにくい現代の漢方家はできるだけ瞑眩が出ないように努めていることが多いです。
しかし、漢方薬に対する感受性の違いにより、やむを得ず瞑眩が出てしまうことがあるのです。
瞑眩の例には次のようなものがあります。
痒(かゆ)みの強い慢性の皮膚病が漢方薬を飲み始めて数日だけ湿疹が増悪して痒みが強くなった後で症状全体がよくなった。
慢性の頭痛症の人が漢方薬を飲んで、かえって頭痛が強くなった後で、頭痛症が治った。
月経困難症の改善のために漢方薬を飲んだ女性に、極めて強い月経痛が起こり、その後、月経痛を忘れてしまった。
瞑眩は、一時的に症状が悪化しますが、通常は2~3日以内、長くとも1週間以内に症状全体の速やかな改善がみられることが多いものです。
副作用も瞑眩も多彩です。あなたの場合は、症状が改善されていることから、全身の状態がよいのでしたら、よい副作用の可能性が高く、月経の状態がよりよく整っていくことでしょう。