Q 慢性の持病があり、漢方薬に興味があります。漢方薬には副作用がないと聞くのですが本当でしょうか。また、漢方薬には生薬や顆粒などさまざまな形態がありますが、やはり生薬が一番効果的なのですか。 (31歳・女性)
A 今の世の中は、老いも若きも健康への関心が高まっているようです。最近では、漢方薬が若い人向けのおしゃれな雑誌で紹介されていることもしばしばあります。
しかし多くの人の漢方に対する誤解や思い込みはまだ多く、このコラムで多角的に説明していけたらと思っています。
私は当薬局に初めて来られた方に、「どういうきっかけで漢方薬を試してみようと思いましたか」と尋ねることがあります。
すると、「漢方薬は体に優しいと聞いた」「副作用が全くないので安心して服用できる」という答えが返ってきます。
漢方薬には副作用がないということは、ずっといわれていますが、「副作用が全くない」というのは誤りです。どんな薬にも副作用の可能性は常にあります。
漢方薬は、西洋医学から生まれた薬のような純粋な化学成分ではなく、いわば私たちが日ごろ口にしている食物に近いものですから、体に適さないものを飲まない限り、副作用の心配はないということです。
漢方薬は、体質と症状によって処方され、同じ病気でも、男性と女性、大人と子供、丈夫な人と弱い人、太っている人と痩せている人などで、服用すべき漢方薬は異なります。
例えば、アレルギー性鼻炎でみてみますと、即効性があることからよく「小青龍湯(しょうせいりゅうとう)」が使われますが、女性や子供には薬が強すぎることがあり、どちらかと言えば「桂枝湯」(けいしとう)などの方が良いことがあります。
つまり、副作用が出ないようにするには、漢方薬を正しく選ぶことが大切なのです。
考えてみると、効果のないものは、でたらめに使っても副作用は出ません。間違ったら副作用が出るというのは、漢方薬の効果を示していることにもなります。
さて、効果の高い服用の仕方についてですが、やはり一番は生薬(漢方薬の原料となる植物や動物、鉱物を乾燥させたもの)で作った漢方薬を煎じて飲むことでしょう。
基本的には毎日煎じます。1日分の漢方薬に適量の水を加え、弱火にかけて30分~1時間煎じて煮詰めます。ガーゼでこして出来上がり。
顆粒剤や錠剤も販売されていますが、効果は生薬に比べると落ちてしまいます。
煎じるのが面倒という方には、マイコン制御の自動煎じ器や、薬局で煎じて1回分ずつをアルミの真空パックにしたものを利用すると良いでしょう。