Q ここ数カ月、寝付けずに困っています。布団に入ってから2時間、3時間と、目を覚ましたままでいることがしょっちゅうです。睡眠薬に頼ることもあるのですが、副作用が気になります。漢方薬で眠れるようになりますか。 (33歳・女性)
A 多くの漢方から体質に合う薬選びを
不眠症は症状によって分類され、この相談者のように寝付きが悪い「入眠障害」、夜中に何度も目を覚ます「中途覚醒」、朝早すぎる時間に目が覚めてから寝付けなくなる「早朝覚醒」、眠りが浅く寝た気がしない「熟眠障害」などがあります。
「自分は不眠症に違いない」と感じる現代人は多いようです。
確かに、不眠症の人は増えていますが、それ以上に多くの人が、「今夜も眠れないのでは…」という恐怖からますます眠れなくなる「不眠恐怖症」であるといわれています。
不眠の原因には、うつ病、緊張、ストレスのほかに、コーヒーやお茶の飲みすぎ、食べすぎ、空腹、寝具が合わない、明るい、暑すぎる、寒すぎる…ほか、いろいろなものが挙げられます。
アルコールを飲んで寝ようとする人も見られますが、次第に慣れてアルコール量が増える上、寝つきは良くても睡眠が浅くなる可能性があるので要注意です。
西洋医学では、薬物治療のほか、カウンセリングなどの精神療法もよく行われています。
漢方では、これが代表的な睡眠薬だというものはなく、それぞれの体質と症状に合った漢方薬を服用することが大事です。うまく薬を選べば、やがて自然に眠れるようになり、薬の副作用もありません。
それでは、いくつかの処方を紹介しましょう。
- 黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
比較的体力があり、のぼせ気味で顔が赤く、いらいらする、つまらないことが気にかかるという人に - 温清飲(うんせいいん)
体力が中等度で、不安、不眠、のぼせなどの精神神経症状があり、出血傾向のある人に - 大柴胡湯(だいさいことう)
肩こり、頭重、目まい、耳鳴りなどを伴う場合に - 桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
虚弱体質で、やせて顔色が悪く、神経過敏または精神不安の状態の人に - 加味逍遥散(かみしょうようさん)
比較的虚弱で、自律神経、内分泌の機能を失調した人に - 温経湯(うんけいとう)
冷え性で、手のひらのほてり、唇の乾き、下腹部の冷えや痛みを訴える人に - 酸棗仁湯(さんそうにんとう)
体力が衰えていたり、過労で眠れない状態の人に - 甘麦大棗湯(かんばくだいそうとう)
全身または局所の筋肉の硬直やけいれんがある場合に