Q 口臭がきつく、人と話すときに気になります。歯を磨いたり、口臭予防グッズを使ったりするのですが、あまり良くなりません。漢方薬で改善できますか。 (36歳・女性)
A 口臭の原因はさまざまで、口臭は誰にでもあるものです。
分類すると、まず一つ目は生理的口臭。
起床時や空腹時は、口の中のだ液が減り、細菌が増殖し、口臭が強くなります。口を開けて呼吸をするのも口臭の原因です。また、精神的ストレスを受けるとだ液の分泌が減り、口臭が生じるケースもあります。
二つ目に、病的口臭。
虫歯、歯周病のある人や歯垢・歯石の多い人は、口の中で繁殖する細菌で口臭が強くなります。ブリッジや義歯などで口腔内清掃が不十分な場合も同じです。そのほか、蓄膿症などの耳鼻疾患、気管支炎などの呼吸器疾患、糖尿病などの全身疾患や、胃腸疾患によっても口臭は引き起こされます。
そして三つ目が、食品や嗜(し)好品が原因となるもので、ニンニクやニラなどのアリシンという物質を含む食べ物をたくさん食べたときや、タバコの吸いすぎ、お酒の飲みすぎの場合です。
漢方では歯周病や胃腸疾患などの口臭の原因を「胃熱」であるとし、胃熱を冷ます漢方薬を服用します。
また、糖尿病や耳鼻疾患が原因であれば、それらの疾患を正常に戻す漢方薬を用いることで、口臭を改善しようとします。
それでは、よく使われる処方をいくつかみていきましょう。
- 黄連湯(おうれんとう)
風邪などの熱病に伴う胃炎、食あたり、胃酸過多の人に。悪心嘔吐(おうと)を訴え、舌苔(ぜったい)は白くて厚い場合が多い - 半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
体力が中程度の人で、食欲不振、吐き気、嘔吐があり、精神不安、神経過敏を呈する人に。口内炎、腸炎を合併している場合が多い - 黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
体力のある人で、血色がよく、赤ら顔で、のぼせ、いらつきがあり、胃痛、口内炎、不眠、目の充血などを訴える場合に - 桂枝五物湯(けいしごもつとう)
歯痛、口内炎、歯周病、口臭がある人に - 桂枝人参湯(けいしにんじんとう)
頭痛、発熱があり、おなかが冷え、脈が弱い人に
ところで、若い女性に多いのですが、必要以上に気にしすぎるあまり、精神的ストレスから口臭が発生するというケースもあります。
根本の病気があれば治療し、生活習慣を改善するよう心がけたら、あとは気にしすぎずに、楽な気持ちで人とのおしゃべりを楽しんではいかがでしょうか。