Q 待望の赤ちゃんを授かり、夫婦ともども大変喜んでいます。今、困っているのが、赤ちゃんが下痢を繰り返すことです。病院の先生からはさほど心配ないと言われるのですが、ほかの赤ちゃんと比べるとひどいので、ちょっと心配です。 (38歳・女性)
A 長く待ち焦がれた子宝を授かったとのこと、うれしさは人一倍でしょう。一方で、何か心配ごとがあれば、人並み以上に気になるものかもしれません。
乳幼児下痢症は、ほとんどの子供が経験するものです。原因を見ますと、消化不良、アレルギー、夏は細菌性のもの、冬はウイルス性のものなどが多くあります。
この下痢症は昔は乳幼児の死亡原因の第2位を示していましたが、近年は環境、衛生、栄養の改善により、軽症化の傾向にあります。
とはいうものの、赤ちゃんは大きな成長の力を秘めつつも弱い存在ですから、免疫も不完全です。親御さんの手厚い保護が必要です。水分をとらせ、脱水症状を防ぎましょう。
漢方では、下痢について、外からの原因として「寒」「風」「冷」「暑」「湿」「食」などがあると考えます。また、内には、「脾・胃・腎の虚」「虫」「胆汁の多寡」などの原因があると考えます。
では、実際の漢方処方について見ていきましょう。
- 五苓散(ごれいさん)
おう吐、口渇、尿利の減少がある場合に。のどが渇き、水様の下痢をしているときに。特に初期の段階で用いると良い。感冒性のおう吐、下痢にも用いられる - 胃苓湯(いれいとう)
水様性の下痢があり、消化不良、急性胃腸炎などに用いる。また、食あたりの下痢にも使う機会が多い - 黄芩湯(おうごんとう)
急性の胃腸炎、特に腸炎に効果的。乳幼児の消化不良にも用いる - 半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
半夏・黄芩、乾姜、人参、甘草、太棗、黄連の7つからなり、急性胃腸炎の代表的な漢方薬として知られる - 桂枝人参湯(けいしにんじんとう)
体力が低下しており、悪寒、発熱、頭痛があるときに用い、特に感冒に伴う胃腸炎にふさわしい - 六君子湯(りっくんしとう)
胃腸虚弱で下痢傾向が続くときは、人参湯より、六君子湯や四君子湯がよい。おう吐が伴う場合にもよい
乳幼児という小さな存在であれば、薬を使うことに抵抗があるかもしれませんが、漢方薬は乳幼児にも安全に使用できるばかりか、乳幼児の体質を丈夫にすることもできます。
漢方の専門家によくご相談ください。