帯状疱疹がなかなか治らない
Q 50代の母のことで相談です。4カ月ほど前に帯状疱疹と診断され、今もまだ痛がっています。普通ならもっと早く治るそうなのですが、よい方法はありませんか。 (29歳・女性)
A 多くの人が子供のころに経験している水疱瘡(みずぼうそう)。これが、何十年もたってから患う「帯状疱疹」の原因です。
水疱瘡を生じさせる帯状疱疹ウイルスは、治療後も体の中に潜んでいます。その人が風邪や加齢などで抵抗力が落ちてきたときに再び活動し始め、帯状疱疹が生じるのです。
その症状は、体の片方の胸や背中、おなかの皮膚に見られる場合が多く、赤い帯状になって現れます。
神経を伝わって現れるため、初めはチクチクと痛み、やがて水泡ができ、次に黄みがかり、乾燥し、かさぶたとなって収束します。たいていは1カ月程度で良くなるのですが、痛みが残る場合があります。
3カ月以上たっても残る痛みを帯状疱疹後神経痛といい、治りにくく、長引くことがあり、ときには数年にも及びます。高齢者や、帯状疱疹の痛みが強い人ほど、帯状疱疹後神経痛を発症しやすいといわれています。
また、帯状疱疹は腕や足、顔面に現れる場合もあり、特に顔面にできるとまれに角膜炎を起こし、失明に至ることもあるので、早急に病院で受診することが肝要です。
治療としては、西洋医学では抗ウィルス薬や消炎鎮痛薬の内服薬、外用薬を用います。しかし帯状疱疹後神経炎については、西洋医学ではまだ決め手となる治療法が確立されていません。
一方、漢方薬は、帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛ともに、奏功することが多く、試してみることをお薦めします。
漢方では、一般に体質的に皮下などに水気の多い人が風邪をひき、体表を閉塞され、気の発散ができなくなり、皮下に気が滞って発熱や発心が生じると考えます。また、皮下の水気と一緒になって湿熱が生じ、それが皮膚に水泡を生じさせ、ひどくなると潰瘍が生じると考えます。
ですから処方としては、気の発散を助けて熱を取り、水気を駆逐する薬が選ばれます。
では、具体的な処方を見ていきましょう。
- 葛根湯(かっこんとう)
発病初期の発熱、神経痛などの症状、発疹に - 五苓散(ごれいさん)
皮膚病変の水疱や湿潤に対し、水を駆逐する目的で用いる - 温清飲(うんせいいん)
かゆみが強く患部は乾燥して出血傾向があり、のぼせ、いらいらなどの神経症状を伴う人に - 十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
慢性に経過した皮膚病変に - 八味地黄丸(はちみじおうがん)
高齢者の皮疹や帯状疱疹後神経痛に