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リビング 寿元堂薬局 北山先生の漢方Q&A

アトピー性皮膚炎で3種類の漢方薬を服用。なぜ効かない?

Q 若いころからアトピーを患っています。3種類の漢方薬を飲み続けているのですが、あまり効いている気がしません。冷え性で、胃腸が弱く、便秘で、肩こりもひどくて悩んでいます。 (33歳・女性)


 一つの病気に対して、西洋医学では症状ごとに薬を用いますが、漢方ではその人の体質や症状全体を見て薬を選びます。

つまり、西洋薬では一度に複数の薬を服用することがありますが、漢方薬では基本的に1種類の服用です。それなのに、この相談者のように、複数の漢方薬を飲んでいる人の多さが最近も目立ちます。

いたずらにたくさんの種類の漢方薬を飲んでお金をかけるよりも、体質に合った高品質の漢方薬1種類をきちんと飲んでもらいたいものです(高品質の漢方薬といっても高価なわけではありません)。

そして、適切な漢方薬を飲んでアトピー性皮膚炎の改善を目指した結果、冷えも感じなくなり、お通じもよくなり、肩も軽くなった、などというような、うれしい副作用が得られることも多いものです。

とはいえ、一人に2種類以上の漢方薬を用いることは、私の薬局でも時にあります。それは次のようなときです。

  • 一つ目 2種類以上の病気や症状があり、どうしても複数の漢方薬でしか対処できないとき。ただし、漢方薬を構成する生薬の働きは微妙です。複数の漢方薬を服用することで生薬が混ざってしまい、思うような効果が得られない場合があるので、飲み方に注意が必要です。
  • 【二つ目】 複数の漢方薬を混ぜ合わせて、別の漢方薬を作りたいとき。たとえば、現在、製剤が手に入らない柴葛解肌湯(さいかつげきとう)は、小柴胡湯と葛根湯を同時に飲むのと同じことになります
  • 【三つ目】 漢方薬に含まれる生薬の量を加減したいとき。たとえば、桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)を飲む代わりに、桂枝加芍薬湯と大黄を分けて飲むことで、大黄の量を加減できます。ちなみに、大黄は下剤としての効果がある生薬です。
  • 【四つ目】 効果を高めるために、一つの病気に対してやむを得ず複数の漢方薬や生薬を使うとき。ただし、最初から複数の漢方薬を使うことはありませんし、このケースは稀です。

もし、これらの理由以外で、1つの病気に対して複数の漢方薬を飲んでいるようなら、見直してみてはいかがでしょうか。

間違った利用の仕方では、漢方薬が効かないのは当然です。必要な漢方薬を適切に利用して、はじめて漢方の効果を評価することができるのです。