Q 以前から、医師からやせるようにと指導を受けていたのですが、ついに糖尿病と診断されました。これからいろいろな治療が始まると思います。ちなみに、糖尿病に効く漢方薬もあるのですか。 (42歳・女性)
A 2010年の幕開けです。今年もよろしくお願いいたします。
さて、わが国における糖尿病患者は、ここ数十年で数万人から推計約1000万人に急増したといわれます。
そのうち、子どものころに発症することが多い1型糖尿病と、生活習慣に起因する2型糖尿病がありますが、日本では95%以上が2型です。
2型糖尿病の中にも、インスリンの量が少ないタイプと、インスリンの働きが悪いタイプとがあり、いずれも血中のブドウ糖が細胞にうまく運ばれず全身にエネルギー不足が生じ、さまざまな不都合な症状が現れます。
糖尿病そのものの症状としては、のどが乾く、尿の回数や量が増える、体がだるい、尿に糖が出る、やせる、血流が悪くなり、足の指などに壊疽(えそ)を起こす、細菌に感染しやすくなり皮膚が化膿したり感冒にかかりやすくなる、などです。
さらに、何年も高血糖状態にあることで合併症も生じます。三大合併症といわれるのが、「糖尿病神経障害」「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」です。
「糖尿病神経障害」は、手足にしびれや痛みを感じる、ケガの痛みに気づかない、筋力の低下、胃腸の不調、立ちくらみ、発汗異常など。
「糖尿病網膜症」は、網膜の血管が悪くなるため、視力が弱まり、失明したり、白内障になったりするものです。
「糖尿病腎症」では、腎臓の糸球体の毛細血管が悪くなり、尿が作れなくなって、人工透析が必要になります。
西洋医学では、食事療法、運動療法のほかに、血糖降下薬やインスリン注射などの薬物療法を行います。
漢方では、その人の体質や症状に合わせていろいろな処方がありますが、単に血糖値を下げることだけを目的とはしていません。
全身症状の改善を図り、結果的に血糖値を安定させることに主眼を置いています。西洋医学の治療と漢方薬を併用することで、インスリン注射量を減らせたなどの報告もあります。
では、代表的な漢方薬を見ていきましょう。
- 白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう) 冷たい水を好み、口が渇き、尿量は多く、脱水状態になっている人に
- 麦門冬湯(ばくもんどうとう) 空咳をして、のぼせがある人に
- 八味地黄丸(はちみじおうがん) 冷えたりほてったりする人に
- 五苓散(ごれいさん) 口が渇き、水を飲んでも尿が十分に出ず、嘔吐、下痢、頭痛、むくみなどを生じる人に