麦門冬湯(ばくもんどうとう)~ 漢方薬のいろいろ ~
内容(単位/g) | 麦門冬10.0 半夏5.0 人参2.0 甘草2.0 粳米5.0 大棗3.0 |
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適応 | 咽頭炎 気管支炎 気管支喘息 肺炎 百日咳 嗄声 咳嗽 のぼせ 激しい咳込み |
出典 | 傷寒論(しょうかんろん) |
国・時代 | 中国・後漢 |
参考文献 | 黙堂柴田良治処方集 |
痰が切れにくく、激しい咳を頻発し、のぼせて顔が赤味がかるもの、また、のどに潤いがなく、乾燥して刺激を感じるものに用いられます。
主に病後で体力の衰えた人、老人、虚弱者などで、のぼせ傾向のある人の感冒、妊娠中の咳、気管支炎、気管支ぜん息、百日咳、咽頭炎、声がれ、肺結核、肺炎などの下熱後の咳、のぼせ、糖尿病などに応用されます。
主薬は麦門冬と半夏で、麦門冬は滋潤の能があり、乾燥して気が上逆するのを潤して引き下げます。
半夏は気のつまりを通し、上衝を引き下げます。
人参は麦門冬と協力して乾燥を潤し、半夏の燥かすのを緩和します。
甘草は急迫を緩め、大棗は胸部を潤し、玄米は胃を滋潤し、虚労を補います。
そして諸薬が協力してよい効果を発揮するのです。
構成生薬
生薬名 | 基源 | 薬効 |
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麦門冬(ばくもんどう) | ユリ科セッコウジャノヒゲの根 | 鎮咳、止渇、滋養、去痰、粘滑性消炎 |
半夏(はんげ) | サトイモ科カラスビシャクの根茎 | 鎮嘔、鎮吐、鎮咳、去痰 |
人参(にんじん) | ウコギ科オタネニンジンの根 | 強壮、健胃、滋潤 |
甘草(かんぞう) | マメ科ウラルカンゾウの根 | 鎮咳、去痰、鎮痛、緩和 |
粳米(こうべい) | イネ科イネの果実 | 滋養、緩和、止渇 |
大棗(たいそう) | クロウメモドキ科ナツメの果実 | 緩和、強壮、利尿 |