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さりお 寿元堂薬局の漢方よもやま話

薬になる植物・サジオモダカ

サジオモダカという植物は、日本北部やアジア北東部に分布するオモダカ科の多年草です。

沼や池などの浅い水中に生育し、6、7月には白く小さな花を多数つけます。
葉が匙(さじ)の形をし、水面から出ている様が人の顔に見えたことが、サジオモダカという名前の由来だそうです。

ちなみに、日本の家紋の一つである澤瀉紋(おもだかもん)は、サジオモダカと同じオモダカ科のオモダカを図案化したものです。

さて、サジオモダカの塊茎(かいけい)は沢瀉(たくしゃ)という生薬として流通し、利尿、止渇などの作用があるとされています。

歌舞伎界で有名な澤瀉屋は、副業で沢瀉(澤瀉)を扱う薬屋だったそうです。

沢瀉は一般用漢方製剤294処方のうち、八味地黄丸(はちみじおうがん)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、猪苓湯(ちょれいとう)など、28処方に含まれます。

五苓散(ごれいさん)もその一つで、口が渇き、頭痛がする、尿量が少ない、などの症状に適することが多い薬です。
その症状が熱中症にあてはまることから、今の時季に用いられることが増えているようです。

ただし、熱中症だからなんでも五苓散が効くというわけではありません。

例年以上の異常な暑さが予想されている今年の夏。
しっかり暑さ対策を行い、熱中症の症状を感じた時には漢方薬だけで対応できると自己判断で思い込まず、適切な治療を行いましょう。