漢方薬に副作用があるのかどうか、気になったことがある人も多いのではないでしょうか。
本来、漢方医学では、適する漢方薬を服用すれば副作用はないとされています。
口に入れるものである以上、アレルギーなどの可能性もありますが、副作用と誤解されやすいものに「誤治(ごち)」と「瞑眩(めんげん)」があります。
漢方医学には、「証(しょう)」という、個人の体質や病状を総合的に判断する指標があります。証に合った漢方薬を選ぶことが、効果を得るためには重要となります。
しかし、中には証の判断を誤ること(誤治)もあります。以前の話ですが、西洋医学の現場で証が軽視され、「風邪には葛根湯」といった病名だけで漢方薬が選ばれていたことがありました。
約20年前、「小柴胡湯(しょうさいことう)」という漢方薬が、慢性肝炎での肝機能障害を改善すると証明されました。そして、証に関係なくむやみに用いられた結果、「間質性肺炎」という重篤な副作用が出て問題になりました。
このように、漢方薬が正しく用いられない結果で起こる不都合な症状を副作用と思われるのは残念です。
また、証の判断は正しいけれど、症状が一時的に悪化する場合もあります。
これを「瞑眩」といい、一過性の病気の増悪のあと、病気が治癒する方向に向かいます。
誤治も瞑眩も副作用とは区別がつきにくいものです。漢方薬は専門家に相談しながら服用しましょう。