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リビング 寿元堂薬局 北山先生の漢方Q&A

風邪の漢方薬にもいろいろあるの?

Q 最近、風邪を引くと長引く傾向があり、症状が出たらすぐに漢方薬を飲むようにしています。先日、薬局で購入した葛根湯を飲みましたが、あまり効果がありませんでした。風邪の漢方薬にもいろいろな種類があるのでしょうか。 (35歳・男性)


生薬を加減したさまざまな漢方薬があります

 日ごろから虚弱な人は病気になっても症状が穏やかに出る傾向があります。このような状態を「虚証」といい、風邪の場合も高熱が出ないで軽い症状が続きます。

一方、丈夫な人は、病気に対する抵抗力が強く、激しい症状が出ます。この状態を「実証」といい、風邪の場合も高熱が出るなど治癒反応が強く出ます。

伝統的な漢方の考え方から言うと、そのときの「証」を見極めて漢方薬を選びます。しかし、証の見極めは簡単なことではありません。

しかも風邪の場合、時間を追って症状がどんどん変化していきます。風邪の漢方薬選びは、実は結構難しいものなのです。ちなみに風邪もインフルエンザも、漢方薬の選び方はあまり変わりありません。

実証・虚証という物差しで、風邪に使われる主な漢方薬だけでも10種類以上あり、使い分けが大切なのです。「風邪なら葛根湯」という決めつけは間違いだと分かっていただけるのではないでしょうか。

たとえば桂枝湯(けいしとう)は、〝虚証の状態〟に使う薬。

これに葛根を加えたものが、桂枝加葛根湯で、〝虚証と実証の中間の状態〟に使われます。さらに麻黄(まおう)を加えたのが、皆さんがよくご存じの葛根湯で〝実証の状態〟に用います。

生薬(しょうやく)を加減して諸症状にきめ細やかに対応できるのが漢方の魅力。風邪薬一つとっても、さまざまな薬があるのです。