既にしもやけの状態で飲んで効果あるの?
Q 中学生の息子が、冬になるとしもやけになり、両手両足とも真っ赤になってかわいそうです。効果のある漢方薬があると聞いたのですが、しもやけがある程度進んだ状態から飲んでも効くのでしょうか。 (45歳・女性)
A しもやけになりやすい体質の人は、血行の悪い人、運動量の少ない人、低体温の人などが挙げられます。また、手足がじっとりしているような手足の多汗症の人もしもやけになりやすいようです。
昭和の時代に出版されていた雑誌「漢方と漢薬」によると、「しもやけの人には当帰四逆湯(とうきしぎゃくとう)が非常によく効く。ランダムに飲ませてみて、ほぼ百発百中だった」という報告が掲載されています。
それくらい良く効いたという話ですが、私の経験では、一つの薬がそう簡単に誰のしもやけにでも効くものではないと感じています。しもやけに限らず、どんな病気にも必ず効くという薬はないのです。
私の経験では、当帰四逆湯は寿元堂で試してみた人の約6、7割の人に効果があったという感触を得ています。
ただし当帰四逆湯以外の薬も含めると話は別で、しもやけに効くいろいろな漢方薬全体で考えると、もっと高い確率でしもやけは改善できるという実感があります。
当帰四逆湯は、中国の後漢時代にまとめられた「傷寒論(しょうかんろん)」に載っている、冷え症を改善する代表的な漢方薬の一つです。
当帰、芍薬(しゃくやく)、甘草(かんぞう)、木通(もくつう)、桂枝(けいし)、細辛(さいしん)、大棗(たいそう)という7種類の生薬(しょうやく)を組み合わせたもの。
傷寒論には「手足厥寒(けっかん)、脈細にして絶えんと欲する者は、当帰四逆湯之を主(つかさど)る」とあります。つまり手足の冷えが強く、脈が今にも消えてしまいそうなほど細い、虚弱な体質の人に適するという意味。これが、手足の血行が悪いためになるしもやけにも応用されてきたのです。
これに工夫をした薬として当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう) という薬もあります。
これは、当帰四逆湯の持つ〝冷えをとる力〟や〝血行を良くする力〟をさらに強める薬で、現在では、この当帰四逆加呉茱萸生姜湯の方が一般的に使われています。
相談者のように既にしもやけが進行している場合でも、漢方薬で症状が改善されることが多いので、試してみるのに遅くはありません。
しもやけの程度や症状にもよりますが、1、2週間も様子を見れば、改善の兆しを感じることが多いようです。
毎年悩んでいる人であれば、寒くなる前から飲んでおくとなおよいでしょう。また、年間を通して飲めば、体質が改善されてしもやけになりにくい体になるはずです。