女性のむくみ
女性のむくみには昔からさまざまな漢方薬が使われており
比較的短期間で効果が現れるケースも見られます
9月になって朝晩は涼しい日がでてきましたが、まだまだ夏のように暑くて湿気が多い日がありますね。
漢方には、「自然界で起こっていることは体内でも起こる」という考え方があります。
自然界に湿気が多い時季には、体の中にも水を溜め込みやすいといったものです。
昔の人は物事をよく観察していたもので、湿気が多い時季には、確かにむくみなどの症状が出やすいのです。
現在は、気温や気圧などの気候の変化によって生じる気象病という不調が以前よりも認知されるようになりました。特に女性が影響を受けやすいようで、むくみも気象病の症状の一つに挙げられることがあります。
さて、女性のむくみに用いられる漢方薬の一つに当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)があります。さまざまな女性の不調によく用いられる薬なので名前を聞いたことがある人も多いでしょう。
中国の後漢の医学書である「金匱要略(きんきようりゃく)」に記載される薬で、体力がなく、貧血傾向で体が冷えるような人に適する薬です。昔から妊娠を維持するための安胎薬としても使わ
れ、妊娠中のむくみにも安心して服用できます。
この夏、相談に来られた方の著効例を紹介します。
湿度が高い時季にむくみやすい女性で、梅雨や夏はむくみで体重が増え、冬には戻るという流れを繰り返していました。
漢方薬を飲み始めて1週間後に来られ、「薬を飲んで3~4日後にはむくみがひいて職場の人が変化に気付いた」とのこと。反応が早いこと、周りが気付くほどの変化があったことに本人も喜ばれていました。
このように1週間以内で変化が分かる場合ばかりではありませんが、比較的短期間で漢方薬の効果が現れるケースは意外に多いものです。
ただし、病気の性質や症状の程度などによって、薬を飲まなくても調子を崩さないようになるまでには根気が必要なケースが少なくありません。自己判断で薬の飲み方を調節すると余計に長引いてしまうこともあるため注意しましょう。
むくみには、当帰芍薬散のほかにも、防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)、五苓散(ごれいさん)、木防已湯(もくぼういとう)など、多くの漢方薬が使われます。
これから寒くなると、冷えてむくみが悪化するケースも増えてきます。
飲食物、月経周期など、むくみに影響するものは気候以外にもいろいろあるので、症状や体質によ
って適切な漢方薬を選ぶことが必要です。