不眠の悩みで相談に来る人が絶えないほど増えている
さまざまな漢方薬があるので一度試してみては
夜になると真っ暗になっていた江戸時代。日が昇ると起き、日が沈むと休息をとる生活が基本だったようです。
現在は、ラジオやテレビの深夜放送、24時間営業しているコンビニの存在が当たり前になり、パソコン、スマートフォンの普及も私たちの生活を一変させました。
娯楽が多く、一日中眠らない社会で暮らしている私たちの睡眠は乱れやすいものです。そのような環境の影響もあるのか、一年を通じて不眠の悩みで相談に来られる人が絶えないほど増えています。
漢方の古典に記載されている言葉には、〝不眠〟のほかに〝不臥(ふが)〟〝不寐(ふび)〟などがあります。〝臥〟は病気を患って〝ねる〟という意味で用いられ、〝寐〟は普通の意味の〝ねむる〟ということと区別しているのです。不寐は眠りが浅い、寝つけない、夜中に目が覚めてしまうなどの症状を指し、現代の不眠症のことです。
不眠症によく用いられる漢方薬は酸棗仁湯(さんそうにんとう)でしょう。
中国・後漢時代の書「金匱要略(きんきようりゃく)」には、「虚労、虚煩(きょはん)、眠るを得ず、酸棗仁湯之(これ)を主(つかさど)る」と記されており、心身が疲れて眠れない人に適す
ることが多い薬です。
ほかにも、加味帰脾湯(かみきひとう)、柴胡加龍骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)、加味逍遙散(かみしょうようさん)、抑肝散(よくかんさん)などの多くの漢方薬が不眠の改善に用いられ、体質や症状によって使い分けられます。
・・・精神状態や体の痛みなども睡眠に影響・・・
不眠の症状が慢性的に継続する場合には、精神状態が強く影響することが多いようです。ただでさえ多くのストレスに囲まれている現代人は、ストレスや不安を抱えている時、うつ病や神経症などになった時などに、不眠を伴うことが多いものです。そのような場合は、精神の負担を和らげるような漢方薬を用いることで不眠の症状も改善していきます。
また、冷え症、皮膚のかゆみ、痛みの症状など不眠以外の悩みで睡眠が乱れている場合も、漢方薬を服用して、症状が改善するとともに睡眠の質に良い変化があるケースは少なくありません。
睡眠は体を回復させるために必要不可欠です。熟睡感があり、朝すっきりと起きられるような質の良い睡眠をとりたいものです。
睡眠に不安がある人は一度漢方薬を試してみてはいかがでしょうか。