鼻の症状に関する漢方薬は多数あり、使い分けられます
鼻づまりや蓄膿症によく使われる葛根湯加川芎辛夷を紹介
最近は暖かい日が増え春の気配を感じるようになりました。花粉症やアレルギー性鼻炎に悩む人には嫌な季節でしょう。
今年は早くから黄砂が飛んだ影響か、寿元堂薬局でも、例年よりも早くから鼻の症状に関する相談が増えました。
また、新型コロナウイルスの流行以降、鼻の症状で悩む人が一年を通して増えたように感じますが、この季節は鼻の症状の多くが悪化します。
鼻の不調が悪化すると、何度も繰り返したり、慢性化してしまうことがあり、睡眠に影響することも少なくありません。そして、よく眠ることができない、疲れがとれないなどの状態にならない
ためにも、早い段階で対応したいものです。
鼻の症状に対する漢方薬は、鼻づまりの有無、鼻水の粘性の度合い、肩凝りや頭痛の有無、寒さの影響の有無などによって多くの薬が使い分けられます。
よく使われる漢方薬に葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)があります。
葛根(かっこん)、麻黄(まおう)、桂皮(けいひ)、 芍薬(しゃくやく)、 甘草(かんぞう)、生姜(しょうきょう)、大棗(たいそう)という葛根湯に、 川芎(せんきゅう)と辛夷(しんい)を加えたものです。
この薬は、漢方の故郷である古い時代の中国医学の書に記載はなく、日本の漢方薬の一つですが、1960年代に創られた新しい処方です。
鼻づまりに川芎や辛夷を配合する薬が効果があることは古くから知られていましたが、葛根湯に配合して鼻の病気に使って効果をあげたのは日本が初めてでした。
そして現在は、顆粒や錠剤に製剤された飲みやすい漢方薬の一つでもあり、鼻づまりや蓄膿(ちくのう)症に最もよく使われる薬の一つになっています。
葛根湯加川芎辛夷が創られた例でわかるように、漢方の世界では、処方一つ一つに生薬(しょうやく)を加えたり、除いたりしながら、長い時代にわたって試行錯誤を重ね、さまざまな症状に適する薬を数多く創り出してきました。
この経緯は、多くの古典から見てとれますが、その恩恵の一部を今の私たちは得ているのです。
鼻の症状には、葛根湯加川芎辛夷以外にも、辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)や、荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)、小青竜湯(しょうせいりゅうとう)などの薬が使われることも多くあります。
ただし、それぞれの薬に適した症状や体質があるので、専門家に詳しく相談しながら、適する薬を選びましょう。